世間に大きな波紋を呼んだ国民的アイドルSMAPの解散騒動。メンバー間の確執やグループに対する考え方の違い、1対4の対立構造があるのではないかなど、さまざまな憶測が飛び交った。


SMAP騒動を受けて、「既視感がある」とネットをザワつかせていたのが、あるヴィジュアル系バンドの脱退解散騒動だ。そのバンドとは、2000年代に大きな人気を誇り、現「メガマソ」のギターリスト涼平が所属していたバンド、「彩冷える(読み方:アヤビエ)」。今回はかれらの騒動について振り返ってみたい。

元祖SMAP騒動? バンド「彩冷える」とは


彩冷えるは、涼平(Gt.)とインテツ(Ba.)を中心に、2004年5月に葵(Vo.)、タケヒト(Gt.)のメンバーで結成された。のちにケンゾ(Dr.)と夢人(Gt.)が加入し、2000年代の若手ヴィジュアル系バンドのなかではトップクラスの人気を誇ったバンドだ。

■最初の危機が訪れる


そんな人気バンド彩冷えるの体制が崩れ始めたのは、2年後の2006年。ギターリストの涼平が脱退を発表したのだ。

涼平といえばヴィジュアルシーンの女形のなかでも「カワイイ」「女の子みたい」と注目されていた1人。
その人気だけでなくメインコンポーザーとしても活躍していた涼平の彩冷える脱退は、大きな衝撃をもたらした。

涼平の脱退を受け、新メンバーとして加入したのが元「そろばん」のギターリストの夢人(Gt.)だ。夢人には女性問題などネガティブな噂が広まっていたこともあり、ファンには衝撃の出来事だった。

ヴォーカリスト以外が全員脱退を発表


順風満帆にみえた彩冷えるだが、再び大きな危機が訪れる。

■「洗濯物事件」とは


2010年、なんとバンドの「顔」であるヴォーカリストを除く4人全員が、突如脱退を発表したのである。これは葵のソロ活動にばかり注力した事務所に対する、残りのメンバーの謀反といわれている。

その後、この脱退は、どうやら円満に行われたものではなく、葵ただ1人に知らせずに決定されたのではないか、という憶測を呼んだ。
というのも、メンバー脱退が発表された数時間前に葵は、「今日も天気が良いからこれでもかと洗濯をしてます!」「太陽に照らされて乾いた衣類は癒される香りがする」などと、和やかなブログを更新していたからだ。
この脱退事件は、のちにファンから「洗濯物事件」と呼ばれることとなる。

もちろん、音楽性の違いが原因で、メンバーの脱退、活動休止、解散などが起こることはよくある話だ。しかし、ヴォーカル以外の全員が同時脱退という事態は、うす気味の悪い印象を与えてしまったことは否定できないだろう。

葵はその後、メンバー脱退の事実を受け、ブログで「大人気なく涙が止まらなかった」「ソロも彩冷えるに繋げるために続けたかった」と胸中を明かした。このブログに多くのファンが涙を流したことだろう。

SMAPも近い将来こうなる? 脱退メンバーが活動続行


葵はソロ活動に専念したが、一方で脱退した4人は「彩冷えるをまだ完全にやりきっていない」という理由でバンド活動を続行。それが脱退からわずか1カ月後の2010年9月だったことも衝撃だが、なによりファンの不安や怒りにさらなる油を注いでしまったのが、新しいバンド名が「AYABIE」だったことである。


従来表記を英語に変更し、オリジナルメンバー4名が所属する新バンドとあれば、「どちらが真のアヤビエなのか?」という疑問や不安感がわくのは仕方がない。さらに、かつてギターリストを務めた夢人が水面下でヴォーカルレッスンを行っており、新バンド結成と同時にヴォーカリストに転身したこともファンを驚かせた。

タケヒト1人が残留することに


さて、2011年にAYABIEはメジャーデビューを果たしたのの、翌2012年には活動休止。このとき、タケヒト1人がメンバーとして残留することが発表された。なんの因果か、葵1人が取り残された過去を彷彿とさせる。

現在ほかのメンバーは個人プレイヤーとして活躍中だ。
ドラムのケンゾ(現KENZO)は、NIGHTMARE柩のソロプロジェクト「GREMLINS」のドラマーを務め、ベースのインテツは写真家としてヴィジュアル系バンドのライブカメラマンなどを行っている。

オリジナルメンバーでバンドを続けること非常に困難だ。バンドの内情は外部のファンからはうかがい知れないほど複雑なのだろう。
「彩冷える」というバンドは身をもって“音楽で食べていく”ことの厳しさを教えてくれた。
(野中すふれ)

※イメージ画像はamazonよりバンドスコア 彩冷える 「彩 -irodori-」