2018年はDA PUMPの「U.S.A.」がダサかっこいいと世間の話題をさらったが、マリオの世界にもUSAのタイトルを冠するゲームがあったことをご存知だろうか。92年、世間がスーパーファミコンにシフトしていく最中だったにも関わらず、マリオシリーズは『スーパーマリオUSA』というゲームをファミコン市場に投下した。
これまでとは趣の違ったマリオシリーズ番外編
マリオシリーズといえば、ダッシュとジャンプを駆使して敵を踏みつけながら時間内にステージクリアを目指すアクションゲームだったが、『スーパーマリオUSA』はこれまでと方向性の違うアクションゲームだった。
まず1番の特徴は、敵はジャンプで踏みつけても倒せないのだ。道端に生えている野菜を引っこ抜いてぶつけないとやっつけられない。そして操作キャラクターごとに性能が異なるという点もポイントだった。
例えばルイージは異常なまでの跳躍力を見せ、キノピオは無駄に怪力、ピーチ姫はスカートのひらひらで数秒程度宙に浮いていられるという性能を持ち合わせていた。マリオは平均的な性能だったが、逆に言うと特徴のないただのオッサンになってしまった。
USAからの逆輸入という裏話
日本でのスーパーマリオシリーズは、『スーパーマリオブラザーズ』、『スーパーマリオブラザーズ2』(ディスクシステム)、『スーパーマリオブラザーズ3』という順に展開された。しかし、欧米ではディスクシステムの『スーパーマリオブラザーズ2』は発売されておらず、その代りに88年に『スーパーマリオブラザーズ2』として発売されたゲームがこの『スーパーマリオUSA』と同内容のゲームだった。日本の『スーパーマリオUSA』は、欧米の『スーパーマリオブラザーズ2』を逆輸入したものなのだ。
さらにややこしいのは、『スーパーマリオUSA』の原型が、87年に任天堂が開発しフジテレビが販売した『夢工場ドキドキパニック』というファミコンソフトだということだ。実は『スーパーマリオUSA』(つまり欧米版『スーパーマリオブラザーズ2』)は、この『夢工場ドキドキパニック』のキャラクターをマリオたちに差し替えて輸出したという経緯がある。
それから5年を経て、「海外でのマリオ」がどんなものなのかを僕たちに知らせるべく、『スーパーマリオUSA』という名で日本に逆輸入(というより帰還)させたのだった。
そんな事情を知らず、『夢工場ドキドキパニック』も知らなかった当時小学生だった筆者は、“アメリカのマリオって日本と全然違うんだな!”とまんまと大人の思惑にハマりつつも、それなりに趣の違うマリオを心ゆくまで楽しんだわけだ。
そんなマリオシリーズも、ただのアクションゲームだけでなく、ミニゲームが詰まったパーティゲームやレース、スポーツなど様々なジャンルに枝分かれしている。そろそろVRの力でマリオの世界に入ってプレイするプロゲーマーならぬプロマリオが誕生してほしいものだ。
(空閑叉京/HEW)