アイドルの寿命とは何歳なのだろうか。20代半ばで芸能界を引退するアイドルのニュースが世間を騒がせたりしている今日この頃だ。

しかし、100歳を過ぎてからアイドル的な人気を誇った女性もいたのを忘れてはならない。
後にも先にも、「アラハン=アラウンド100歳」でTV番組、CM、音楽活動などを通して人気タレントとなった人物はいないのではないだろうか。しかも双子で!

100歳を超えてから人気者になった「きんさんぎんさん」


その双子というのが、90年代にお茶の間を賑わせた「きんさんぎんさん」こと成田きん・蟹江ぎん姉妹。そのおめでたい名前と、「アラハン」になっても元気な姿から、多くの人に愛され、一種の国民的アイドル的存在となった。

「きんさんぎんさん」が注目を浴び始めたのは1991年のこと。
二人が数え年100歳を迎え、当時の愛知県知事・名古屋市長から二人揃って長寿の祝いを受けたことが新聞に紹介され、話題を集めたのがきっかけ。
そしてその後、ダスキンのテレビCMキャラクターとして起用されたふたりは、「きんは100歳100歳、ぎんは100歳100歳。ダスキン呼ぶなら100番100番」というフレーズで全国的に有名になる。通信販売情報誌『通販生活』のCMや、AMラジオ局・ニッポン放送のAMステレオ放送開始宣伝にも出演するなど、CMキャラクターとしても人気を集めた。

CDデビューで数々の最高例記録を更新!


100歳を迎えてから、このように多くの人に親しまれることとなったきんさんぎんさん。「きんさん・ぎんさん」は1992年の「新語・流行語大賞」の年間大賞および語録賞にも選出されるほどの社会現象っぷりだった。

そして1992年2月には、なんとCDデビュー。「きんちゃんとぎんちゃん」というデビューシングルは初回プレス2万枚、1992年12月時点で10万枚を売り上げ、日本での最高齢レコードデビュー記録・オリコン史上最高齢チャートイン記録をともに大幅に更新したのだった。
ちなみに同年7月にはセカンドシングルもリリース。
「きんさん、ぎんさんの101回目の誕生日」は1992年2月時点で6万枚を売り上げた。

「徹子の部屋」の最年長ゲスト


最高齢記録はCDの売り上げだけではない。
1992年、1998年にはそれぞれ100歳、108歳でテレビ朝日「徹子の部屋」に揃ってゲスト出演し、2016年現在も二人を超えるゲスト最年長記録は更新されていない。
ちなみに単独出演としての最年少ゲストは、芦田愛菜の6歳7ヶ月(2011年)だというから、最年長ゲストとの年の差は約100歳……。「徹子の部屋」のゲストの多様さにも驚かされる。

1995年には、人気を得ていた台湾に招かれ、103歳にして初めての海外旅行を経験したきんさん・ぎんさん。国内外での人気は冷めやらず、2000年にきんさんが107歳、2001年にぎんさんが108歳で天寿を全うするまで、芸能活動や慰問を続けていた。
ふたりは姉妹という関係を超えた名コンビでもあり、よきライバルでもあったようだ。互いに負けじと足腰を丈夫にし、噛む力を強くし、積極的に活動する……生まれつき絶好のパートナーに恵まれたふたりだからこそ実現し得た伝説なのかもしれない。
(空町餡子)

※イメージ画像はamazonよりいまがしあわせ―写真集 きんさん、ぎんさん100年の旅
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