「笑ってはいけない」開始前の紅白の裏番組は? お色気規制の緩かった90年代を振り返る


まもなく年の瀬。大晦日のテレビ番組というと、まずはNHKの紅白歌合戦。
そして「笑ってはいけない」シリーズや格闘技をはじめ民放各局が何を放送するか、いわゆる裏番組も話題となります。

過去の紅白裏番組は今と同じなのかそれとも違いがあったのか? 90年代を「紅白の裏番組」という切り口で紐解いていくと、そこには現在へと続く流れと、90年代ならではの賑やかさの両方が満ちあふれていました。

今なお残る、年末年始の定番番組


まず、ずっと変わらないのがテレビ東京。「年忘れにっぽんの歌」を放送しています。音楽ファンの中には、紅白よりもこっちが好きという人も少なからずいるようです。

続いてTBSも、実は90年代は毎年ずっと同じ番組を放送してました。その番組とは……「日本レコード大賞」!。


2006年からは12月30日放送のスタイルとなりましたが、それまでは大晦日の放送。そのため、紅白歌合戦と両方に出場する歌手が、急いで移動する姿も見どころの一つでした。レコード大賞放送直後の番組も女子駅伝やクイズなど色々ありましたが、1999年には徳川埋蔵金を生放送で発掘できるかというプロジェクトが放送されています。

ちなみに格闘技を紅白裏で初めて放送したのもTBSで、2001年のレコード大賞後のこと。これが予想外の大ヒットとなり、以降スポーツ特番も定番化していきます。

そしてテレビ朝日も、90年代の紅白の裏番組は「大みそかだよ!ドラえもん」が恒例。
ここ数年は放送日や時間帯がずれ、紅白の裏にならないこともありますが、年代を問わず楽しめる年末年始の定番として輝き続けています。

なおドラえもん放送直後の番組は、ニュース映像を振り返る内容が多かったよう。その中でも、ビートたけしをメインとした「TVタックル」のような討議番組が定番となっていき、特に90年代後半からはノストラダムスが滅亡を予言した世紀末が近いこともあり、超常現象に対して激しく議論する番組が制作されました。


「笑ってはいけない」以前の、ダウンタウンの大晦日の番組って何?


そして90年代は、フジテレビと日本テレビが激しい視聴率競争を繰り広げていました。

日本テレビの人気番組「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで」の一企画だった『笑ってはいけない』シリーズの大晦日放送が恒例となったのは2006年から。80年代後半~90年代前半までは、年末時代劇を放送していました。

しかし開局40周年にあたる1993年、一気に路線変更しバラエティ番組が放送されます。
中でも人気だったのが野球拳! お色気の規制が緩かった90年代ならではの内容です。

ちなみにこの司会を務めたのがダウンタウン。ある意味、現在とのつながりも感じますね。しかし、1995年はこのダウンタウンが逆に紅白歌合戦に出場(H Jungle with t)で欠席ということも。その後、野球拳はクレームが多かったこともあり終了。以降は当時の人気番組「電波少年」の特番などが放送されました。


一方、フジテレビの大晦日番組は多種多様。ヒット番組が多かった90年代初めは、その年のバラエティ番組を振り返るスタイルの特番が放送されました。ただし実験的な企画が多かったのも特徴。89年から90年の年越しでは深夜番組「やっぱり猫が好き」を生放送で流し、人気アナだった逸見政孝さんと共演させるなんてことも。

また、96年から97年の年越しでは「料理の鉄人」の特番を放送。。
「100人前のおせち料理」がテーマで、2人の鉄人が料理対決する姿を生放送。制限時間は0時ジャストだったので、料理が完成した瞬間に年が明けるという粋な演出もありました。

「ゆく年くる年」は民放の特別な番組だった!?


「笑ってはいけない」開始前の紅白の裏番組は? お色気規制の緩かった90年代を振り返る


最後にちょっとしたトリビアを。紅白放送直後の年越し番組がバラエティに富みだしたのは、実は90年代から。それまでの年越しは民放すべてが同じ番組を流していたんです。

その番組の名前は「ゆく年くる年」
現在、NHKでも紅白終了後に同じ名前の年越し番組が放送されていますが、実は昭和の時代までは民放すべての局が年越しの時間帯には、まったく同じ番組を流していたんです。

平成が始まり民放各局が年越し番組をそれぞれ制作し、同時に紅白の裏番組にもより一層の磨きがかかるようになった。そう考えると、1年の最後に放送される番組は、時代を映す鏡なのかもしれませんね。

(高柳優/イベニア)