そんなウッチャンこと内村光良が、映画界進出のきっかけにもなったであろうデビュー作品は、1992年に公開されたコメディ映画「七人のおたく cult seven」だった。ウッチャンナンチャン2人によるダブル主演で、今では伝説にもなっている作品。
この映画を今振り返ると、ツッコミどころも満載でかなり強引なストーリーの作品だったが、当時はこの作品でウッチャンナンチャンとして日本アカデミー賞の「新人俳優賞」を受賞している。
「格闘技おたく」を演じた内村光良
内村光良の役は、「格闘技おたく」という設定。今よりもかなりマッチョな身体で、自ら本格的なアクションも取り入れるという熱の入れようだった。
スタントなしで撮影し、壁を蹴って宙返りをするなどの派手なアクションシーンは、ウッチャンの大きなアピールポイント。ジャッキー・チェンに憧れていることでも知られていたウッチャンは、それこそ実際にも「ジャッキーチェン・おたく」だったのかも知れない。一方ナンチャンこと南原は、いわゆるミリタリーおたくの役だった。
江口洋介や山口智子も出演!
さらに、この作品で他にも意外なキャストとしては、江口洋介の「パソコンおたく」、武田真治の「アイドルおたく」……そして当時のイケイケのボディコンに身を包んだ山口智子は「レジャーおたく」という意味不明の役で、この作品が映画初出演だった。
今にして思えば、それらの後に主役級になっていく役者たちをおたくキャラとして使ってしまうという、破天荒な映画だった。
しかし、「おたく」というワードがまだ世間で今ほど一般的になっていなかった時代、「おたく」 (当時はオタッキーとも呼ばれてしまった)という存在の認知度を上げたという点で、この映画の功績は大きいだろう。
この「七人のおたく」では、おたく評論家として名を馳せていた宅八郎氏も取材協力者としてクレジットされていた。
今では誰もが口にする「おたく文化」、その黎明期の様子にいちはやく目につけ、当時の何気ない「おたく」シーンが垣間見えたりもする「七人のおたく」。
(空町餡子)
※イメージ画像はamazonより七人のおたく [DVD]