
スポーツの祭典であるオリンピックをモチーフとしたゲームは多数あるが、『ハイパーオリンピック』ほど指先を駆使したものはなかっただろう。
ファミコン時代から変わらぬゲーム性
『ハイパーオリンピック』は85年にファミコンソフトとして登場した。遊ぶには別売りの「ハイパーショット」という専用コントローラを使用しなくてはいけないという代物だった。
時は流れて96年、ファミコンで初登場してから約11年を経て、当時全盛を迎えたプレイステーションに“オリンピック”の名を冠したゲームが復活した。その名も『ハイパーオリンピック イン アトランタ』。
ファミコン時代とはコントローラのボタン数も操作性もかなり異なっているにも関わらず、“連打こそスポーツ!”と言わんばかりに、ファミコン時代からまったく変わらぬ操作方法で登場したのだ。
8つのボタンを駆使した複雑な操作で競技を競うといったことを勝手に期待した筆者は、若干肩透かしをくらった気持ちになったことは間違いないが、この時代にあえて連打にこだわったその姿勢は嫌いではなかった。
笑えるオリンピックプレイ動画
結論から言うと、ただひたすら連打するだけのスポーツゲームは熱しやすく冷めやすい恋愛と同じだ。『ハイパーオリンピック イン アトランタ』に向けられた熱い情熱は、数ヶ月ももたずして見事にしぼんだ。
それからさらに月日は流れ、「ハイパーオリンピック」の「ハ」の字すら忘れていた頃、再び『ハイパーオリンピック イン アトランタ』が思わぬところで話題を集めていたことを筆者は知った。動画投稿サイトで、改造コードを利用してバグを起こした状態で『ハイパーオリンピック イン アトランタ』をプレイするゲーム実況動画が人気となっていたのだ。
水泳で泳いだら負けといわんばかりに忍者のごとく水上を高速移動する者、棒高跳びで二度と地球に戻ってくることはないだろうジャンプを見せる者。改造によっておよそ人智を超越した存在となったキャラクターたちは、ハイパーオリンピックを最高の超人エンターテイメントへと昇華してくれた。
真剣に競技に打ち込めるゲームほど、バグったときの笑撃は大きい。
(空閑叉京/HEW)