TBS系ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』の勢いが止まりません。視聴率では『ドクターX』や『相棒』に及ばないものの、『恋ダンス』をはじめとする話題性は他の追随を許さず。
早くも「逃げ恥ロス」を不安視するファンもいるなど、ちょっとした社会現象を巻き起こしています。

「抜群のコメディセンス」新垣結衣の抜擢理由


さて、この『逃げ恥』の主人公・森山みくりを演じる女優といえば、新垣結衣です。彼女の主演起用について、プロデューサーの那須田淳氏は「演技力」と共に「抜群のコメディセンス」を理由に挙げています。
確かに、ガッキーは過去『リーガルハイ』や『全開ガール』、『パパとムスメの7日間』などのコメディドラマにおいて、幾度となくコミカルな演技を披露しており、実績は抜群です。

しかし、そのコメディエンヌとしてのルーツは、これらのドラマよりもさらに前。2005年に放送していた『落下女』というコント番組から始まっていたことをご存知でしょうか?

おぎやはぎやバナナマンが出演していた『落下女』


『落下女』は、2005年10月4日~2006年3月28日にかけて日本テレビ系列で放送していた深夜バラエティ。コンセプトとしては、ブサイクな芸人が“こうすれば女の子は落ちる”という独自のテクを、コント形式で実践するというもの。おぎやはぎやバナナマン、南海キャンディーズの山里らが、様々なタイプの女性たちへ面白おかしくアプローチをかけていきます。

ガッキーが演じたのは、まさに、この落とされる側の女性。当時17歳。2001年から専属モデルとして活躍していたファッション雑誌『ニコラ』の卒業を控え、本格的なテレビ進出を進めているときでした。女子テニス選手・新人キャバ嬢・OLなど、多彩なコスプレを身にまといながら、芸人たちに口説かれる姿が好評を博していました。

バナナマン日村から笑いの指導


このときのガッキーは、女優としてほぼ駆け出しの状態。当然『逃げ恥』や『リーガルハイ』で見せたような立ち居振る舞いなど、できるはずもありません。

そこで共演の芸人たちは、ことあるごとに笑いのアドバイスをしていたといいます。バナナマンの日村などは「だから、ガッキー、こういうときはこうやった方が面白くなるんだよ!」と、先輩面して偉そうに助言していたと、自らのラジオ番組で語っていました。

またガッキーはこの『落下女』において、やりたくないことはやりたくないとハッキリ言っていたといいます。あるコントに際し、バナナマン設楽が「ガッキー、これ面白いから」と言って、顔への落書きを勧めたところ「嫌です」と一蹴したというから大したもの。既に大物女優としての片鱗を垣間見せていたようです。

結局、番組は半年で終了してしまいましたが、現在も第一線で活躍するトップクラスの芸人たちから笑いのレッスンを受けた経験は、間違いなくガッキーの財産になっているはず。
それはあたかも、『ごっつええ感じ』で篠原涼子がダウンタウンらとの共演によって磨きあげた笑いのセンスを活かし、後年『ぼくの魔法使い』や『ラストシンデレラ』で好演したのと同じ道筋を辿っているかのようです。
そんなコメディエンヌの系譜に連なる女優・新垣結衣は、果たしてどんなキャリアを歩んでいくのか……。今後も目が離せません。
(こじへい)

※イメージ画像はamazonより落下女 女子を落とせるベストコント集1 [DVD]
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