今回は90年代を駆け抜けた山口智子の全盛期のドラマを振り返ってみる。
「もう誰も愛さない」(フジテレビ系)
90年代初期に流行した1回見逃すと物語がわからなくなるほど展開が速いジェットコースタードラマ。
山口が演じるのは同僚(田中美奈子)の逆恨みをきっかけに幸福な人生から引きずりおろされる女性だ。冤罪、失明、流産、殺人と人生の修羅場をすべて飲み込んだ汚れ役。「どんな役でもやる!」という山口智子の女優根性が垣間見られる怪演が印象的である。
「ダブル・キッチン」(TBS系)
キャリアウーマンの都(山口)が夫の家族と二世帯住宅で暮らしながら、古風な姑(野際陽子)と悪戦苦闘を繰り広げるファミリーコメディ。山口智子のコメディ女優ぶりが十分に堪能できる名作ドラマであり、高視聴率を獲得。スペシャル特番も作られ、山口智子が“高視聴率女優”と呼ばれるきっかけとなった。
「29歳のクリスマス」(フジテレビ系)
蒲田敏夫脚本による山口智子の代表作。20代最後の年を迎えた同世代の男女(山口智子、松下由樹、柳葉敏郎)が、恋愛や仕事や人間関係に悩みながらも必死にひとつひとつクリアしていこうとする姿をコミカルに描く。
山口は、結婚と仕事の狭間でアラサーならではの悩みと闘いながら踏ん張って生きるヒロインをリアルに演じて女性たちの共感を得た。山口智子全盛期の頂点を飾るドラマ。
「ロング・バケーション」(フジテレビ系)
月9でオンエアされ、ロンバケ現象を起こした木村拓哉共演の人気ドラマ。結婚式で新郎に逃げられた落ち目モデルの南(山口)がピアニストの瀬名(木村拓哉)と共同生活することになり、お互いかけがえのない存在になっていく。
山口は南のキャラの掴み方が的確で嫌味なく爽やか。木村拓哉、山口智子共に、人気絶頂期に共演した奇跡のドラマでもある。
「ロンバケ」以降、結婚を機にドラマ界から消えて、しばらくは「山口智子の復帰作は何か?」と話題になった。しかし、そんな噂も次々と現れる女優たちの活躍で陰に追いやられ、現在はドラマに出演しても話題にあがることはない。しかし作品選びさえ間違えなければ、再び女優・山口智子が輝く日が来るはずだ。
(れおなるど)
※イメージ画像はamazonよりダブルキッチン [DVD]