不況ワードが並んだ90年代初頭
流行語大賞は91年から年間大賞が設けられ、現在の形となった。この辺りから、バブルの絶頂を過ぎてバブル崩壊・経済停滞期を迎えるということもあって、不況を表す言葉が流行語大賞に並んだ。
91年、92年を見ても、「損失補填」(91年 流行語部門・銅賞)、「カード破産」(92 年 新語部門・銀賞)、「複合不況」(92年表現部門・金賞)、「謝長悔長」(92年 表現部門・銅賞)と当時のバブル崩壊による混乱を反映している。
また、その後も「失われた10年」と呼ばれるほどの経済不況に陥ったこともあり、「就職氷河期」(94年 審査員特選造語賞)、「日本列島総不況」(98年 トップテン入賞)などのフレーズも流行語大賞に選ばれた。
事件や災害に関する言葉も
また、その他にも災害や事件に関するフレーズが流行語大賞を受賞したケースも多い。
災害に関するフレーズでは、91年の雲仙普賢岳噴火に伴って頻繁に報道された「火砕流」(91年 新語部門・金賞)や記憶に新しい「3.11」(11年 トップテン)など。
バスハイジャック事件など未成年犯罪の増加、相次ぐ食品偽造事件を受けて、00年に「一七歳」、07年には「食品偽造」がその年のトップテンに選ばれた。
また、当時の社会問題となっていた「援助交際」(96年 トップテン)や「学校(級)崩壊」(99年 トップテン)などが、流行語大賞に選ばれたこともある。
流行語大賞に選ばれなかったあの言葉
しかし、当時の社会状況を表した言葉が流行語大賞に選ばれなかったケースも過去には存在する。
代表的な例が、95年に起きた一連のオウム真理教に関連した言葉だろう。この年は、3月に地下鉄サリン事件を起きたこともあり、オウム真理教をめぐる報道が連日メディアを賑わせた。この間、「サティアン」、「ポア」、「ああ言えば上祐」などの言葉が生まれ、流行語大賞でも推薦はされたものの、選ばれることはなかった。
これは当時の審査委員会が「反社会集団の残した言語はいかなる賞にも値しない」と判断したためだ。
このように選出される場合とそうでない場合が見られる流行語大賞。