12月4日に放映された『M-1グランプリ2016』(ABC・テレビ朝日系)。結成15年目までの若手コンビを対象とした漫才師の頂点を決める闘いだが、今回は松本人志が審査員に復帰したことでも大きな話題を呼んだ。


今年、その頂に立ったのが結成12年目の「銀シャリ」だ。今回は新王者銀シャリのボケ・鰻和弘(32)のこれまでに迫ってみよう。

「やすきよ」以来の「リードするボケ」


鮮やかなブルーのスーツ姿が印象に残る銀シャリ。敬愛する横山やすし・西川きよしに影響を受けたファッションだ。もちろん影響を受けたのはファッションだけではない。

ツッコミを受けながらボケで漫才をリードしていくかれらのスタイルは、「やすきよ」に象徴される正統派しゃべくり漫才に強く傾倒している。とくにボケの鰻は、その声色、間、容姿、雰囲気のすべてが漫才をするために生まれてきたかのよう。
ラジオでは真面目で礼儀正しい一面も垣間見え、幅広い世代に愛されるキャラクターが魅力だ。

日本に6人! そのうち鰻ファミリーで4人を占める


さて、気になるのがその苗字だ。先祖が鹿児島にある鰻池という池を祀っていたことに由来するという「鰻」姓。かつては銀シャリ・鰻一家以外にも多くいたというが、改名する人があとを絶たず、現在は日本に6人しかいないんだとか。ちなみに、6人のうち4人が鰻の家族である。

名前のせいでフラれた過去を断ち切り結婚!


かつては、この個性的な苗字が原因となり、女性にフラれた過去も……。「重子さん」という女性に恋をした際には、“結婚したら「鰻重子」で「うな重」になるから”という理由で、あえなく撃沈。ネタではなく実話だという。


しかし、そんな鰻にも春が訪れた。2015年に「7人目の鰻になってください」というプロポーズがきっかけで結婚。『やすとものどこいこ!?』(テレビ大阪)に出演した際には、鰻が300万円を支払ってハワイで結婚式をするというエピソードも披露された。

鰻のド天然エピソード


さて銀シャリのネタといえば、鰻の「天然」なボケに対し、橋本がワードセンスを生かしたツッコミで笑いを増幅させていくという手法がおなじみだ。そんな鰻の天然はネタのなかだけに止まらない。

喫茶店で「アイスコーヒー、ホットで!」と注文し、「ぬるくなるけどよろしいでしょうか?」と店員にスカシツッコミをかまされたことや、「マスクをしたままタンを吐く」「東京ドームの広さを見て『これ東京ドーム3個分くらいあるんちゃう!』と発言」「くわえタバコしたままシャワーを浴びて火が消える」など、日頃から鰻だけに天然もののボケをかましているようだ。

鰻オススメの「黄金飯」とは?


そんな鰻のおすすめの食べ物といえば、「一粒一粒が黄金に輝いている」という「黄金飯」である。2012年にテレビ番組で鰻が紹介したこのメニューは、「手間がかかるからお店では出せない」という。
一体、どんなメニューなのか?

その正体は……「ハッサクを手間暇かけて粒に分解し、ご飯のようにお茶碗にもりつけた一品」。他番組でも「ハッサク好き」を公言している鰻。予想外のメニューを紹介してきた鰻に対して、同番組に出演していた関ジャニ∞メンバーも唖然としていた。鰻だけに、つかみどころがないキャラクターがその魅力である。

日本のクラシックな笑いを継承してほしい


さて、そんな天然の鰻と橋本のコンビがM-1新王者となった2016年。今年のM-1に象徴されるように、「漫才」のスタイルは日々新しいスタイルが模索されている。

そんななか、古きよき日本の漫才のポテンシャルをここまで引き出し、改めて世に知らしめることができたのは、誰よりもしゃべくり漫才を愛している銀シャリゆえだろう。

審査員の中川家・礼二が「売れても漫才だけは続けてください」と激励したように、今後とも正統派の笑いを突きつめていってほしいコンビだ。
(ヤマグチユキコ)

※イメージ画像はamazonよりギンギラ銀にシャリげなく [DVD]