
問答無用で自分の得意なゲームに相手を参加させる能力者たち
これでお前が オニだぜ?
な…何だここは!?
ヂートゥに殴られた途端、野球場サイズの草原にワープさせられてしまったモラウ。8時間以内に相手にタッチしなければ脱出できない。
ヂートゥはチーターっぽい容姿のキメラ=アント。脚が速く銃弾もスイスイ避ける。人里に出たときには警察の包囲網をかいくぐり、人の指をウィンナーみたいにちぎって食べていた。
そうして人間狩りを楽しんでいたところ、モラウとナックルの待ち伏せを受けてバトルに敗北。、その後、相手を自分との鬼ごっこに無理やり付き合わせるという新たな念能力を引っ提げ、モラウへのリベンジに臨む。
5時間経ったら起こしてくれや
追いかけてほしがるヂートゥだったが、モラウはその場で横になってしまった。
(これは脚力の戦いじゃねェ 心の削り合いだよ!!)
冨樫義博の漫画の世界には、相手を自分の世界に引き込んで強引にゲームに付き合わせる能力が時々出てくる。その中に入れば、暴力禁止。当事者が有利にも思える能力だが、結局、被害者に心理戦に持ち込まれて、敗北するのがお約束のパターンである。
幽遊白書でゲーム強制型能力者の攻略法を教えてくれた蔵馬

幽遊白書の単行本13巻でもゲーム強制型の能力者が出てくる。蔵馬の高校のクラスメイト、海藤である。彼の能力は「禁句(タブー)」。
暑い部屋の中で、海藤VS蔵馬、飛影、桑原、ぼたんとゲーム開始。タブーは「あつい」。
オレの領域の中じゃキミただのチビだぜ
身長が低いことを指摘された飛影が挑発に乗って魂を取られ、
ああ
ついでに氷も入れてくれ
蒸した部屋の中でジュースの淹れ方に注文を付けた桑原が脱落。うっかり口を滑らせたぼたんもやられてしまった。
一対一になった蔵馬は、45分以内にケリをつけられなければ魂をあげるという条件で、ルールの変更を提案。「1分ごとにあいうえお順でタブーが一文字ずつ増えていく」というもの。中盤まで言葉遣いに気を付けながら雑談を展開。一言もしゃべれない状況に追い込んだら、変顔で笑いを取って勝利した。
心理的に「タブーを言わなければ勝てる」と思った方が負けるんですよ
心理戦のツボを知り尽くしている蔵馬。このあとの15巻でも、再び蔵馬主催の心理戦が展開される。
子ども相手でも残酷な心理戦に持ち込んだ蔵馬

続く単行本15巻でも似たようなタイプの能力者が出てくる。小学生ゲーマー・天沼である。
『ゲームバトラー』という得意のゲームで浦飯たちの足止めをしてくる。ここでも海藤同様、蔵馬が心理戦に持ち込んでくる。
このゲームのオチはゲー魔王が死ぬこと。このゲームで負ければ、君は死ぬことになる。今日まで、能力を使うのをそれとなく仙水に止められていたんじゃないかと揺さぶりをかけてくる。
TVゲームを実物大で体験できるだけの能力だと思っていたのに……
自らの死をチラつかされて自滅した天沼は、蔵馬の予想通り、死んでしまった(のちに復活)。
ゲーム強制型の能力者はめんどくさそうなキャラが多い。
この手の能力者たちは、それぞれ人格を否定されている描写がある。海藤は、クラスメイトの蔵馬に人と話してるのを見たことがないと言われていた。天沼も、学校に友達がいないことが語られている。
のちにゼノと対峙したヂートゥも、初対面で延々と自分語りを続け、自分勝手な奴と言われていた。
小学生の頃、ゲームに負けそうになったらカセットを上から叩いて、勝負をリセットしてくる友達の家に遊びに行ったことがある。(そろそろ帰ろうかな)と思うと、お母さんがおやつや手料理を持ってくる。食べてから帰りなさいと。
もしもあのとき、お母さんがヂートゥみたいな能力に目覚めていたらと思うとゾッとする。
ゴゴゴ……「息子と●時間以上ゲームしないとテリトリーから出られないわよ……」ゴゴゴ……
みたいな感じで。
(山川悠)
参考→『HUNTER×HUNTER』再開を待ちながら1巻から読んでみる