タイトルの通り、遠藤憲一、大杉漣、田口トモロヲ、寺島進、松重豊、光石研という、様々なドラマや映画などでしょちゅう見かけるバイプレイヤー(脇役)たち6人が、本人役としてシェアハウスで共同生活を行うという設定のドラマ。
バイプレイヤーばかりをメインキャストに据えたドラマ企画というのは、まあ時々あるもんだが、そのバイプレイヤーたちをシェアハウスで生活させてしまおうという仕掛けには完全にやられた!
ドラマ中でも言っちゃってるけど、まさに「中年のテラスハウス」なのだ。
おじさんたちの共同生活。そんな番組が成り立つの? 成り立つ! ……というか最の高!
ここ数年の、テレ東ドラマの企画力はホントにスゴイよ。

おじさんたちを見てどうしてニヤニヤしてしまうのだ
中国のネット配信動画チャンネル「友中」(YouTube的なことか?)が制作するリメイク版『七人の侍』の出演オファーを受けた6人。しかも監督は『初恋のきた道』のチャン・イーモウ、主演は役所広司だという。
しかし出演するためにはある条件が。
それは「絆を深めるため、クランクインまでの3か月間、共同生活を送る」こと。
ということで、大杉漣所有の別荘をシェアハウスとして共同生活をはじめた6人だったが、彼らには10年前に『バイプレイヤーズ』という映画の撮影中に大揉めして制作を頓挫させてしまったという過去があった。
さらに、肝心の役所広司にはまったく話が通っていないことが判明して……。
ざっくり、こんな感じの話なのだが、ストーリーはわりとどうでもよくて、おじさんたちが楽しそうに共同生活をしている姿を見ているだけで楽しい気分になってしまう不思議な番組なのだ。
強面、もしくは渋めな役のイメージが強い6人が、みんなで料理したり掃除したり。
さらには「プチトマトがダメ」だの、「今日一番ついてないのは蟹座のアナタ」だのと女子高生ばりのトークでキャッキャウフフと盛り上がる。
本人役で出演ということで、「この間ね、総理大臣やったらゴジラに殺されたんだ」(大杉漣)など、ちょいちょい本人絡みの小ネタがぶっ込まれてくるのも楽しくて、ニヤニヤしっぱなしだ。
どうしてボクはおじさんたちを見てニヤニヤしているのか……!?
中でも、大杉漣が松重豊にLINEの使い方を教わるシーンのかわいさたるや……。心の中に芽生えるこの新鮮な気持ちは何でしょうね。
これはおじさんたちの青春ドラマだ!
『バイプレイヤーズ』のメイン監督は、映画『スイートプールサイド』『ワンダフルワールドエンド』『私たちのハァハァ』などで若手注目株と目される松井大悟監督。
思春期の少年少女を主人公とした、いわゆる青春映画を得意としてきた松居監督が、おじさんたちのテラスハウスをどう描くのかと思っていたのだが……完全に青春ドラマだわ、コレ。
だから、ちょっとした行き違いで、おじさんたちが熱くケンカもしてしまう。
寺島「俺もみんなもよ、主役やってるよ? 松重だって遠藤だって!」
光石「テレ東だろ?」
遠藤「テレ東の何が悪いんだよ!」
光石「俺はNHKとかキー局の話してるの」
田口「NHKならボクも」
光石「あんたBSだろ?」
この発言に傷付いた田口トモロヲは、シェアハウスを飛び出そうとするのだが、この時、言い放った「どんな現場も誇りを持ってやってますんで!」はバイプレイヤーたちの魂の叫びだろう。
その後、何だかんだで仲直りし、共同生活は継続されることになるが、シェアハウス(別荘)の持ち主である大杉漣が何やら不穏な動きを。
暗い部屋で、シェアハウスのいたる場所に取り付けられた隠しカメラの映像を見ながら「この中に裏切り者がいる」とつぶやいたのだ。
フェイクドキュメンタリーと見せかけつつ、おじさんたちの青春ドラマ……かと思いきや、サスペンス風味も入ってくるの!?
とりあえず初回は、6人の関係性と設定の説明で終わった感じで、ストーリーがこれからどう転がっていくのかまったく読めないところ。
まあ、ストーリーよりも、ただただおじさんたちがイチャイチャしている姿を見ていたい気もするけど。
イチャイチャを見たい派の方は、ドラマ終了後のミニコーナー「バイプレトーク」も必見だ。
撮影終了後(?)にアルコールを飲みながら、ダラダラしゃべっている打ち上げ感の漂う映像がまたよくて……(ネットにロングバージョンをアップしてくれないもんか)。
そして、竹原ピストルが歌うテーマソング「Forever Young」も完全にマッチしまくりなのだ。
とにかくこれからも、おじさんたちの「Forever Young」な共同生活をウォッチするぞ!
(イラストと文/北村ヂン)