今ではiPhoneにSiriが搭載され、SNSやゲームも進化してAIもメジャーになり、人間並みの「会話」をできるコンピューターが当たり前になってきている。
しかし、90年代には人の言葉に反応し、返事をしてコミュニケーションできるという機能は画期的だった。
そんな機能で人気を集めた育成シュミレーションゲーム「シーマン~禁断のペット~」を「飼った」ことがある人もいるのではないだろうか。

ゲーム界に衝撃を与えた「シーマン」


「シーマン」は、1999年にドリームキャスト用ソフトとして発売された育成ゲームで、さらにその後PlayStation2などにも展開された。当時3Dを使った音声認識型のゲームとしては、斬新なものだったのは間違いない。ドリームキャストがキラーソフトの出揃いに悩んでいた時期の作品だったため、ゲーム界に衝撃を与え知名度を広め、一時は在庫不足も起こるほどだった。

音声認識で会話もできた!


人面魚の姿に手足が生えたような奇怪なキャラクターを水槽で育てる、という単純なものであった。しかし当時は、音声を認識しながら会話もでき、画面の中でのみ成長する架空の生物という「シーマン」の奇妙な設定は、ゲームマニアだけでなく一般のユーザーもワクワクさせた。

しかしこのゲームは、育成のみならずアドベンチャー的な要素も持ち合わせていた。「シーマン」に育て上げるまでには、卵を孵化させて幼体を育て、エサをやりながら1日たりとも放置してならないという、かなり難易度の高い内容だったため、途中で挫折したひとも多くいる。
また、「シーマン」は成長してゆくごとにきちんとしたコミュニケーションがとれるようになっていくのだが、完全体になるためには仲間を捕食しないといけないなどの条件があるため、気味悪がってやめる人もいた。

国内外で様々な賞を受賞


いずれにせよ、当時としては見事な3Dグラフィックや音声認識のシステムなど、ゲームカルチャーに及ぼした影響は大きく、国内外でも様々な賞を受賞している。またこのゲームの開発者でもある斉藤由多加氏によると、ゲームのヒントは玩具の育成プランクトン「シーモンキー」から得たと話している。その「シーマン」の声は、斉藤氏本人が演じているというが、ふてぶてしい返事の中にも真実を孕んだ発言もあったのが、奥深い要素だったかもしれない。

その後、派生ソフトや関連ゲームも数多く発売された「シーマン」だが、ますます進化してゆくAI時代に、いま一度制作したらどんな進化を見せるのだろうか。現代の「シーマン」もみてみたい気がする。

(空町餡子)

※イメージ画像はamazonよりシーマン ~禁断のペット~ガゼー博士の実験島:完全版(マイク同梱)
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