これは、狩野英孝の淫行報道に際し『アッコにおまかせ!』(TBS系)の生放送中、出演していた事務所の先輩である出川哲朗に、狩野への生電話を強要したエピソードを受けての発言だ。
90年代に放送された『かざあなダウンタウン』
そんな松本人志も、90年代に放送された『かざあなダウンタウン』(テレビ朝日系)においては、和田アキ子的な立場にいたといえる。
この番組は1995年5月にはじまり、当初は関東ローカル、放送時間も火曜の深夜1時40分からだった。半年後の10月からは土曜夜23時55分からの全国放送となったが、翌1996年3月にわずか1年足らずで終了している。
ダウンタウンが芸人にムチャぶり
この番組には今田耕司、東野幸治、板尾創路、蔵野孝洋(現・ほんこん)からなる130R、木村祐一、山崎邦正、リットン調査団ら、ダウンタウンファミリーというべき面々が出演していた。彼らは、ダウンタウンのムチャ振りに従い、過酷な企画に毎週チャンジしていた。
その内容は、木の棒を尻にどれだけ食い込ませられるか試す、画びょうのついた風船でバレーボールをする、2人1組で相手にビンタをしてメガネがどこまで飛ばせるか勝負するといった痛々しいものだ。
さらに、吉本興業のベテラン先輩芸人の中で誰がクズか答える、男の芸能人で貞操を捧げるなら誰か答えるなど、精神的に追い込まれる企画もあった。
そうした若手芸人のリアクションをダウンタウンがゲラゲラと笑いながら眺める。ともすれば、その姿はパワハラと映りかねないものだった。
松本人志は乗り気ではなかった?
だが番組の裏事情を明かせば、ダウンタウン、特に松本人志はこの番組に乗り気ではなかったようだ。おそらく企画側は『スーパーJOCKEY』(日本テレビ系)内でたけし軍団が体を張る「ガンバルマン」のダウンタウン版を目指したが、松本にとって本意ではなかったのだろう。
松本は現在の和田アキ子に同じく、番組内において力を持つものとして、パワハラをせざるを得ないポジションに立たされていたとも言える。
『かざあなダウンタウン』と同時期には、柔和なイメージで知られるウッチャンナンチャンも、若手芸人にムチャぶりを行う『UN FACTORY カボスケ』(フジテレビ系)を深夜帯で放送していた。
90年代中頃のバラエティ番組において、「芸人イジメ」「パワハラ」はひとつの流行であったとも言えるだろう。
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