テレビ番組の街頭インタビューなどでよく聞く「お父さん」「お母さん」という呼びかけ。しかし3月15日、はてな匿名ダイアリーに「見ず知らずの店員や警官、職員に『お父さん』と言われるのが不快な件。
」という記事が投稿されて共感を集めている。

「お父さん」と呼ばれるのは不快? テレビのインタビューも議論の的に


見知らぬ人への「お父さん」「お母さん」呼びに違和感
画像はイメージです。

50代男性の投稿者は、見ず知らずの店員や警官に何かを訪ねた際に「お父さん」と言われるのが不快でたまらないらしい。「他になんか言いようないんか? いちいち『君のお父さんと違うで!』というと、その場の雰囲気が一瞬止まる。言う方も、なんと言っていいのかわからんのと思うけど…。なかには独身もおるやろし。なんか、弱者で見下された気にもなる」と綴っている。

この投稿に対し、「その気持ち分かります」「居心地が非常に悪い。身分詐称っぽくて」「分かる。逆の立場で、見知らぬおばあさんをちょっと助けようしたときに、『おばあちゃん大丈夫?』と声をかけようか迷ってしまう」と共感の声が。

テレビ番組のインタビューなどでもよく聞くこの「お父さん」「お母さん」といった呼び方。質問サイトなどでも以前から議論の的になっており、「私も嫌です。たとえ『お姉さん』でも、そう呼ばれるのは嫌です」「テレビで呼んでるのは親しみやすさの演出だと思うけど、警察に『お母さん』と呼ばれたのは馴れ馴れしくて嫌だった」と、やはり不快感を覚える人は多い。

一方で、「じゃあ『おじさん』『おばさん』って呼ぶの? それも失礼じゃない」「日本語って、誰にでも通用する呼称ってなくないですか?」と困惑する人も。
店員と客の関係ならば「店員さん」「お客様」という呼び方、肩書きの分かる人なら「教授」「社長」といったように肩書きで呼ぶ、あるいは「あなた」という呼び方を使うという意見もあったが、どうにもしっくりくる呼称は見つからないよう。また、「ご主人」「奥さま」という呼び名も不快だ、失礼だという声が多い。

そもそも「お父さん」「お母さん」じゃないんだけど…


「そもそも結婚してないからなあ…」「年配者でも子どもがいないとか、子どもを失ったとかでお父さんでない人はたくさんいる」という声もあるように、過去に比べて日本人の生涯未婚率(50歳時点で一度も結婚したことのない人の割合)は大幅に高くなっている。内閣府男女共同参画局によると、1950年の生涯未婚率は男女ともにわずか1.5%だったのが、1990年あたりから急激に上昇。2010年には男性が20.1%、女性が10.6%を記録した。

また、たとえ結婚していても子どもがいないため「お父さん」「お母さん」ではない人の割合も決して低くはない。内閣府の「国民生活白書」によると、1970年、1980年、1990年、2000年で子どものいる世帯の比率は67.4%、69.4%、63.3%、53.2%と減少傾向。軽々しく「お父さん」「お母さん」と呼ぶのは止めておくのが賢明かもしれない。
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