これは、ホリケン扮するアイドルオタク・秋葉カンペーさんが、アイドルのイベントへゲリラ的に潜入し、エキセントリックなカンペを出して笑わせるというもの。
安田美沙子、井上和香、加藤夏希など、当時旬なアイドルたちが次々と餌食になっていた同企画において、17歳の沢尻エリカも登場。ホリケンのセンス溢れる大喜利的カンペの数々に思わず噴き出し、自慢の八重歯を覗かせていました。
このあいくるしい笑顔の正統派アイドル「エリカちゃん」が、わずか数年後に傲慢不遜な「エリカ様」に生まれ変わろうとは、この時誰が予想できたでしょうか……。
映画『パッチギ!』・ドラマ『1リットルの涙』でブレイクした沢尻エリカ
秋葉カンペーさん出演の後、沢尻は2005年の映画『パッチギ!』でブレイクしました。この映画では日本アカデミー賞を含む数々の新人賞を総なめ。同年放送の連続ドラマ『1リットルの涙』(フジテレビ系)でも主演を務め、エランドール賞・新人賞、ゴールデン・アロー賞・新人賞を受賞します。
「別に…」と発言した沢尻エリカ、司会者を睨み付ける一幕も
しかし2007年9月29日、沢尻は自身が主演する映画『クローズド・ノート』の舞台挨拶へ出席した際に、"事件"を起こしてしまいます。その光景は、あまりにもセンセーショナルでした。
当時21歳の沢尻エリカは、舞台に登場した時点ではやくも腕を組み、露骨な仏頂面全開。「一番思い入れのあるシーンというのは、どのシーンでしょうか?」と司会者が質問すると、「特にないです」と答え、会場に不穏な空気が漂います。
そんな重苦しいムードを察してか、監督の行定勲は撮影現場で沢尻が手作りクッキーを振舞ってくれたという、ほっこりエピソードを披露。それを受けて司会者が「どんな想いでクッキーを焼いたのかだけ、教えていただいていいですか?」と問うと、「別に…」と一蹴。名言誕生の瞬間です。
すかさず司会者が「きっと想いはあったんだと思うんですが、今ちょっと皆さんには、披露したくないのかも知れない…」とフォローに入るのですが、これを冷然と睨み付けました。
後に「あの時代はどこかおかしかった」と語る
当然沢尻は、激しいバッシングに晒されます。しかし、いったい何故、このような態度をとってしまったのでしょうか?
後年、本人が語ったところによると、「あの時代はどこかおかしかった」とのこと。もともとインタビュー嫌いだったのに、約160件もの取材を受けたことで精神的末期状態に。後の番組のインタビューでは、こんなふうにも語っています。
「もういっぱい、いっぱいで。“私はこう”みたいな決められた価値観で生きてきて。それがパンクしたのが理由の一つ」
先日、トレエン斉藤さんの放蕩癖がテレビで紹介され話題となりましたが、彼の散財は365日休みゼロという多忙さからくる、ストレス発散目的なのだとか。
確かに、1年間休みなく働き続けていたら、精神的に疲弊していくのは自明。まして、とかく激しいプレッシャーと競争に晒される芸能界では、精神の安定など望むべくもないのでしょう。当時21歳だった沢尻の心の歯車が狂ってしまうのも、無理もないというものです。
インタビューの続きでは「子供とか、夢を持って(映画を)見たいという人のことを考えていなかった」と当時を反省し、さらには「私にとって役者は人生」とまで語っていた沢尻エリカ。今年で30歳。
(こじへい)
※イメージ画像はamazonよりan・an (アン・アン) 2013年 12/4号 [雑誌]