犬が人を噛んでもニュースにはならないが、人が犬を噛んだらニュースになる。

これは、報道の世界でよく言われている格言。
要するに、意外性があればあるほど、ニュースソースとしての価値が高くなるという、モノの例えです。
こうした「イメージとの乖離」が世間を賑わせた実例でいえば、今から16年ほど前にスクープされた「広末涼子・プッツン大奇行」の報も、絶大なインパクトがありました。

「奇行」とは、「普通の人ならしない、変わった行動・奇抜な振る舞いのこと」を意味する二字熟語。この言葉は当時、清純派で売っていた広末涼子には、当然ながら似つかわしくないものでした。

映画の製作発表会見で号泣、取材のドタキャンも


全てのはじまりは、2001年5月1日。フランスの巨匠、リュック・ベッソンが製作・脚本を手がけた映画『WASABI』の製作発表会見でのことです。ここで広末は、突如号泣。
まったく脈絡のないところで大泣きしたため、一時、会場が騒然とします。

その3日後には、予定していた新作CMの公開取材を急遽キャンセル。さらには翌日、スタッフ30人、エキストラ50人以上を待たせた挙句に、CMの撮影自体もキャンセルしてしまいます。

タクシー無賃乗車が報道された広末涼子


こうしたエキセントリックな振る舞いを、清純アイドル・広末涼子がしたことにより、世間がざわついたのは言うまでもありません。
ここで終われば、「ちょっと心身のバランスを崩していた」程度の言い訳で済んだはず。しかし騒動まだ続きます。

決定的だったのは、ドラマ『できちゃった結婚』(フジテレビ系)における、撮影中の出来事でした。

雑誌『フライデー』2001年7月20日号が報じたところによると、2001年7月、広末は当時の交際相手・金子賢と西麻布のクラブで朝まで遊び明かした後、そこからドラマのロケ地である千葉県・白浜町まで、タクシーで直行。あろうことか、4万円分も無賃乗車をしたというのです。

また、雑誌『FOCUS』2001年7月25日号では、現場への日常的な遅刻、リハーサル中に共演者を待たせた上に携帯電話でひたすら遊び仲間と話すなどの行動がすっぱ抜かれます。

これら一連の報道により、完全に「広末=プッツン女優」のイメージが定着することとなってしまいました。

伊勢谷友介との別れが原因だった?


しかし、なぜ広末の奇行報道は2001年5月~7月に集中しているのでしょうか?
一説によると、この少し前にあたる3月ごろに、広末は長らく交際していた伊勢谷友介と別れたといいます。

伊勢谷は、映画『鉄道員』⇒『秘密』への出演を果たし、女優としてステップアップしていく広末を影ながら支えた存在。
その大きな精神的支柱を失った広末は、自暴自棄になり、心の空白を埋めるように現れた金子賢との恋愛に溺れていった……という報道もありましたが、真相は定かではありません。

その後、2003年にモデルの岡沢高宏とできちゃった結婚、2008年に離婚、2010年にキャンドルアーティストのCandle JUNEとできちゃった再婚。3児の母となった現在は、多くの作品に出演する女優として活躍しています。
(こじへい)

※イメージ画像はamazonより広末涼子 Teens―1996-2000