コンビニの全商品に電子タグ セルフレジで瞬時に会計
経済産業省とセブンイレブン、ファミリーマート、ローソン、ミニストップ、ニューデイズは共同で「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」を発表した。
同省サイトで公開されている資料によると、2025年までに、衣料チェーンのGUなどでも導入されている「RFID」という電子タグを全ての取扱商品(推計1000億個/年)に貼り付けるという。店舗の販売員ではなく、商品メーカーが電子タグを貼り付けることを想定している。
導入の背景として、少子化による人手不足や食品ロス、返品の発生といった問題をあげている。2018年には、特定の地域で電子タグによる商品の個品管理を実現するための実験を開始する予定だ。
RFIDはバーコードと異なり離れたところからも読み取り可能なうえ、複数のタグも一括で読み取れる。そのため、対応するセルフレジを店舗に導入することで、台にかごを置くだけでタグを瞬時に読み取って合計金額を計算、会計できる仕組みになるようだ。
「おでんはどうするんだろう?」という声も
セルフレジ導入の是非についてSNSではさまざまな意見が見受けられる。
肯定的な人からは「コンビニ店員さんの負担が減るなら大歓迎」「これはありがたいな、パン1つ牛乳1つとかなんて自分でやるよって毎回思っちゃうし」「誰にも会えないようなだらしない格好でコンビニ行くことに抵抗がなくなるな」「待望のポイントカードを聞かれない世界が…」といった声が。
一方で「スーパーのセルフレジとかで、しょっちゅう店員が客に呼ばれて説明してるのを見るとなんとも言えないな」と使いこなせない人がいるという意見や、
「無人レジ見張るスタッフが一人必要になるから人件費+1名分出る気がするんだけど」と逆に人件費が増加するのではないかと懸念する声、
また「おでんはどうするんだろう?」などセルフレジで対応できない商品もあるのではといった指摘もある。
セルフレジ以外の利点もあるが、実現に向けて課題も
経済産業省のサイトで公開されている参考資料には、セルフレジ以外のRFID活用例も記載されている。「スマートシェルフ(棚自体をIDリーダー化)にして自動棚卸」「セキュリティゲートを設置して万引き防止」「消費期限に応じた自動価格表示で食品ロスを削減」「RFID対応冷蔵庫やクローゼットの開発で中の状況を簡単に把握」などだ。
実現されれば相当便利になることは間違いなさそうだが、2025年の実現に向けて課題もある。
また、電波を遮断してしまう水や金属や、レンジ加熱にも対応するタグ貼り付け方法を開発することも求められる。おでんやレジ裏で調理するソフトクリーム、カゴに入らない傘などはどう処理するのかも決めなくてはならない。
そのため「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」には、下記のような留保条件も記載されている。
・特殊な条件(レンジ温め、金属容器、冷凍・チルド、極細等)がない商品に貼付する「普及型」の電子タグの単価(ICチップ+アンテナ+シール化等のタグの加工に関する費用)が1円以下になっていること
・ソースタギング(メーカーが商品に電子タグを付けること)が実現し、商品のほぼ全てをRFIDで管理できる環境が整備されていること
セルフレジ化は国内で既に広がりつつあり、食品スーパーを始め、TSUTAYA、GUなどさまざまな店舗で導入済み。今年に入ってからもすかいらーく系列のファミレスチェーン店「ガスト」「ジョナサン」「バーミヤン」計3店舗で試験導入が始まっていた。