
お茶漬けって、ふと食べた時に体と心にじわーっと染みわたる美味しさがある。せっかくふっくら炊いたご飯をあんなに湿らせて食べて、しかもそれがあんなに美味しいなんて、つくづく食とはわけのわからないものである。
お茶漬けの概念は実に曖昧で、緑茶や煎茶などをご飯にかけたものを指すだけでなく、ただのお湯でも、夏場なら水でもいいし、出汁をかけたっていい。ご飯になんらかの液体をかけて食べればすでにそれでお茶漬けである。しかもただお茶だのお湯だのをかけて食べるだけでなく、実に様々な具材がそれに合うわけだ。組み合わせは無限大。有り余る可能性を前に途方に暮れる。
オリジナル茶漬けもよく色々試すが、私は永谷園の「お茶漬け海苔」も大好きだ。特にあの“あられ”。刻一刻と歯ごたえがふにゃふにゃになっていくところがたまらない。 “ご飯にあられを乗せてお茶(お湯)をかける”なんて、よく考えたものだ。まてよ、あられがアリなら、もう駄菓子でも全然いいんじゃないか? と、そんな考えに行き着くのは当然であろう。
約20種類の駄菓子でお茶漬けを作る
今回は、お茶漬けにしたら美味しいと思う駄菓子(一部“駄菓子”とは呼べないものも含む)を色々試し、時には失敗を経験しながらも頑張り抜いたレポートをここに紹介したいと思う。実際、自信を持っておすすめしたい組み合わせもいくつかあった。
ポン酢やオロナミンC系ドリンクなど、飲み比べ・食べ比べ会にいつも協力してくれる大阪・中津のミニコミショップ「シカク」に今回も力を借りた。
事前に参加メンバーにお茶漬けにしたら美味しそうだという駄菓子をピックアップしてもらい、それらを含めつつ色々買い集めてみた。ちなみに、どれも奇をてらうことなく「きっと美味しいはず!」というそれぞれの信念のもとにチョイスしている。
今回エントリーしたのは、駄菓子の定番「うまい棒」や「カットよっちゃん」、「キャベツ太郎」など約20種類。

かけ汁にはオーソドックスな「緑茶」を使用することにした。

ご飯の上に駄菓子を置き、急須からお茶を注いで30秒ほど待って食べる。駄菓子を替えながら延々とそれを繰り返していく。
緊張の1種類目は私がきっと美味しいはず! と思って用意した「キャベツ太郎茶漬け」だ。

「キャベツ太郎」はうまい、ご飯もうまい、お茶もうまい、全部足して美味しくないはずがないではないか。
と、自信満々で食べてみると、あれ、香りは確かに「キャベツ太郎」のソース風味の美味しそうなものなのだが、味が薄い。少し足りなかったかと思って足してみてもなんだかふわっとした、掴みどころのない味である。
シカクの店長・巴さんの「なんだろう、僕、食べたことないんですけど、ビリヤニってこんな味なんじゃないかっていう気がします」という発言が笑えた。たぶんビリヤニはもっと全然美味しい!

お次は、参加者の一人であるヤマコさんセレクトの「どんどん焼き茶漬け」。

もちろん、肉ではない。だが、「キャベツ太郎」のように味が薄まらず、しっかりと塩っ気が全体に溶け出しお茶漬けとしての完成度が高い。
発案者のヤマコさんも満足の様子。

と、こんな感じでどんどん試していきながら、5点満点で採点していった。たけしげさん発案の「うまい棒めんたい味茶漬け」はなかなか好評。

はやとさん発案の「サッポロポテトバーベQあじ茶漬け」は、なぜか味が一切せず一同沈黙。お菓子によってはこの“味消え”が発生するのが不思議だった。香りはするのにしょっぱさがなくなるのである。お茶とぶつかって消えてしまうのだろうか。味的にはまったくおすすめできないが、お茶をかけた瞬間、まるで生きているようにスナックがしゅわしゅわと動く様子は無性に誰かに見せたくなった。
トップ3とワースト3駄菓子茶漬けを発表!
一喜一憂しつつ、トータル17種類の駄菓子茶漬けを試した。その結果から上位3位とワースト3位を紹介したい。
第1位
「タラタラしてんじゃねーよ」(よっちゃん食品工業)

総合点4.94点
みんなのコメント:
たけしげ「これはれっきとした茶漬け。めっちゃ美味しい」
はやと「すまし汁みたいな味わいがある」
ヤマコ「ダントツで美味しかった! 汁までしっかり味が出ている」
巴「味がちゃんと溶け出すし、ピリッとくる辛さもいい」
満場一致で高得点を叩きだしたのがこちら。香りも良いし、しっかりと味も溶け出してくれる。普段のお茶漬けのトッピングに使ってみるのもありかもしれない。ちなみにこの「タラタラしてんじゃねーよ」はカップラーメンなどのトッピングとしても万能なので試して見て欲しい。
第2位となったのがこちら。
第2位
「じゃがりこ サラダ」(カルビー)

総合点4.84点
みんなのコメント:
たけしげ「優しい味わいで、お茶漬け本来の美味しさを思い出させてくれる」
巴「硬めから徐々に柔らかくなっていく食感が素晴らしい」
ヤマコ「すごく上品な味。醤油かポン酢を一滴垂らしてもいいかも」
はやと「野菜の旨みが広がる」
今回試したポテト系スナックはその多くで謎の“味消え”が発生したのだが、「じゃがりこ」は特段味が濃い印象がなかったものの、しっかりとした味わいが残った。お茶の美味しさも引き立たせてくれるので、お茶漬けとして大事なものも見失ってない印象。永谷園の「お茶漬け海苔」に足してみたら相性抜群かもしれない。
3位はこちら。
第3位
「ベビースターラーメン チキン味」(おやつカンパニー)
総合点4.8点

みんなのコメント:
巴「どんぶり一杯食べたい味。うまい!」
ヤマコ「ふやけた麺の食感もいい」
はやと「お湯に溶け出すチキンの味がご飯と合う」
たけしげ「普通に美味しいです!」
私はふだんからベビースターラーメンにお湯を入れてふやかして食べるのが好きなのだが、正直ここまでお茶漬けにして美味しいとは思わなかった。ふにゃっとした麺とご飯が絡みあった独特の食感がクセになる。ベビースターラーメンはたっぷりめに入れ、味見しながらお茶の量を調節するのがおすすめ!
次点としては、辛みにグイグイ箸が進んだ「暴君ハバネロ」、衣の旨みが溶け出す「ビッグカツ」などが高得点を得る結果となった。
ここからは、そのまま食べたら美味しいのに、お茶漬けには不向きだったものワースト3を紹介したい。下手なことはせず、普通に食べましょう。
ワースト1位
「サッポロポテト バーベQあじ」(カルビー)
総合点1.8点
みんなのコメント:
たけしげ「ぶよぶよした味の無い何かになってしまう」
はやと「バーベキューとご飯ってマズいはずないのに、ダメだった……」
スズキ「味は一体どこに消えたんだろうか。謎」
ワースト2位
「満月ポン」(松岡製菓)
総合点2.0点
みんなのコメント:
ヤマコ「なぜか変な苦味が出てくる」
巴「そのまま食べて、その後にお茶を飲むのが最高」
はやと「せっかくの醤油の味がどこかへ行ってしまう」
ワースト3位
「かっぱえびせん」(カルビー)
総合点2.1点
みんなのコメント:
巴「どこまで行ってもお茶とご飯と仲良くなれない味なのかも」
たけしげ「かっぱえびせんの良さが嘘のように消えてしまう。食感もあんまりよくない」
と、美味しかったものも案外ダメだったのものも含めてワイワイと楽しく食べ比べることができたのだが、シカク店長・巴さんがふと、「ああ……今思うとポン酢の食べ比べは本当に最初から最後まで美味しいだけやったなあ……」と漏らしていて申し訳ない気持ちになった!
しかし今後もまだ見ぬ食の可能性を求めてワインディングロードを突っ走ります!よろしくお願いいたします。
(スズキナオ)