福知山線脱線事故から12年、遅延を過剰に気にする風潮は変わっていないと嘆きの声
画像はJR西日本サイト「福知山線列車事故について」のスクリーンショット

2005年4月25日に起こったJR福知山線脱線事故から12年が経過した。この事故は日本を揺るがす大きなインパクトを与えたが、遅延を過剰に気にする風潮が未だに残る現状に対して、SNSなどネット上では「結局何も変わっていないじゃないか」と失望の声があがっている。



約1分の遅れを取り戻そうと走行


JR福知山線脱線事故は、スピード超過でカーブを曲がり切れずに脱線し、車両の一部がマンションに衝突。乗客と乗員計107人が死亡、乗客562人が負傷した痛ましい事故だ。

運輸安全委員会の事故調査報告書によると、電車は定刻よりも約1分ほど遅れており、事故発生地点直前の駅付近では、遅れを取り戻そうと時速122キロで走行していた。ブレーキが遅れた理由は、事故前に起こしたオーバーランの言い訳を考えていたこと等で注意がそれたと考えられ、「日勤教育」と呼ばれる懲罰的な制度が背景にあった可能性が指摘されている。

余裕のないダイヤについても指摘がなされ、JR西日本に対して事件当時は、安全対策を怠ったことだけでなく、従業員に無理な労働を強いたことについてもバッシングが起こっていた。


「福知山線事故からほとんど何も学んでいない」


ネット上では事故から12年経った現在も、遅れを許さない日本人の意識と、それに応えて過剰サービスを供給し、従業員に無理を強いる企業を問題視する指摘がある。
「遅れを過剰に気にする旅客と鉄道会社、正直あの時となんも変わってない気がします」
「いまだに遅延や運転見合わせで必要以上に文句言うような風潮見ると何も学んでいないのかなとも思う……」
「世の中のプレッシャーが福知山線の脱線事故を起こしたのに何も学ばなかったんだな、と思うし、なおさら風化させてはいけないと思う」

実際に電車の遅延に怒る人の目撃情報は後を絶たず、「久しぶりに見た、電車遅延の時に駅員にキレるおっさん」「人身事故等で遅延すると自分が悪くもないのに謝罪させられる車掌さんや駅員さん本当に可哀想だなぁ。
駅員さんは全く悪くない。駅員さんにキレてるおっさんは全員消えてくれ」「いい歳したおっさんがたかが4分程度の遅延でキレてて哀れでした」「2分ぐらいの遅延でキレてるおっさんいてワロタ」といった投稿がされている。

また、「通販の配達遅れに過剰なクレーム入れてるやつは福知山線脱線事故を調べてほしい」「ネット通販にまつわる狂想曲やブラック企業従業員の自殺等を見ると、大多数の日本企業は福知山線事故からほとんど何も学んでいない」と、昨今話題の運送業界の労働問題や過労による自殺問題を例にとって嘆く人も見受けられた。