
ヤバイ奴は、自分でブレーキを踏めない
すごくザックリした言い方をすると、ヤバイ奴になる奴って自分ではどうしようもない。他人がいくら何を言っても、視野が狭くなっているから聞く耳を持っていない。家庭内ストーカーになりかけている涼太(東出昌大)に、例えば、友達の小田原(山崎育三郎)が「そんなことしちゃダメだよ」と言ったとしても、なんの効果もない。
もし、他の誰かが涼太のブレーキを踏むことが出来るとしたら、それは狭い視野の先にいる美都(波瑠)しかいない。美都が不倫をキッパリとやめて、涼太に寄り添うしかない。まぁ、もう手遅れかもしれないが。
しかし、少女マンガ脳でアホなだけだと思われていた美都までも、第3話で涼太並にヤバイ奴の片鱗を見せてしまった。
アホな女から、アホでヤバイ女へ
不倫旅行から帰る際、「やっぱり見てたのかなぁ。お天道様」と、反省し始めた美都。その罪滅ぼしから涼太の同僚の小田原を招いてホームパーティをしようと提案。その直後に有島からメールで誘いを受けるも、美都はちゃんと断る。後日かかってきた電話でも素っ気ない対応。美都、ギリギリなんとか偉い。
しかし、パーティ当日、この前のお詫びにと有島(鈴木伸之)からの誘いのメールが。美都は「お詫びならしょうがない。しょうがないもん」と、ランチだけは行くことに。
有島と会っている時の美都は、旦那がいることを忘れて少女の様な表情をする。というか、BGMや光の当たり具合などの演出そのものが、ピュアなラブストーリーの様になる。これが美都の愚かさとアホさを際立たせている。
だが、今回はただアホなだけの女ではなかった。美都は、有島の産まれたばかりの赤ちゃんの写真を見ても気軽にかわいいと言えない。「軽くつぶれそう」「他人の子供なんてちっともかわいくない」と、思わず本音が飛び出してしまう。これは、自分でもまだ理解出来ていない有島への独占欲、独占されたい欲からくるものだ。アホな女が、“ヤバイ女”に変貌しようとしている瞬間だ。
美都はもうしょうがないとして
美都は、W不倫ではなく、完全に自分が独身気分での不倫の仕方をしている。
ヤバイ奴は自分でブレーキを踏めないのだから、親友の香子(大政絢)が何を言っても聞こえない。美都を止める事は出来るとしたら有島だ。完全に頭がおかしくなる前に、関係を断ち切らないといけない。なのに有島は「軽くつぶれそう」「他人の子供なんてちっともかわいくない」と言ったヤバイ女(美都)を口説いてそのままホテルへ行ってしまう。
アホでヤバイ美都はもうしょうがないとして、有島はただのチャラついた不倫野郎なんだから、ここら辺の嗅覚はしっかりして欲しい。「あ、こいつヤバイ女だ」と気付くチャンスは、今まで何度もあった。たぶん、ここがドロドロ不倫に墜ちていくターニングポイント。有島が線引き出来なかったのが悪い。
今夜放送の第4話、不倫されて可愛そうな涼太と自分勝手でバカな美都は、共にブレーキを失ってさらにヤバくなっていく。
(沢野奈津夫@HEW)