「日ペンの美子ちゃん」原画展が凄い 時代ごとに変化する作画タッチ
日ペンの美子ちゃん原画展の入口


「日ペンの美子ちゃん」をご存知ですか?
学文社の日本ペン習字研究会の広告マンガに登場する女の子です(読みは「にっペンのみこちゃん」)。

初登場は今から45年前。
1ページのマンガですが毎回ストーリーが異なります。さまざまなオチがありつつ、ボールペン習字もしっかりPRする、明るく元気な美子ちゃん。

同じ作品でありながら、年代によって作者が異なるのも大きな特徴。例えば筆者の場合は、80年代に従姉の家の少女マンガ誌の裏表紙でよく読んだ印象が強いです。
「日ペンの美子ちゃん」原画展が凄い 時代ごとに変化する作画タッチ


ここ10年間定期掲載は無かったのですが、今年1月に6代目の美子ちゃんが公式Twitter(https://twitter.com/nippen_mikochan)にて復活。早速話題となり、今ではフォロワーも2万人を超える人気となっています。

そんな「日ペンの美子ちゃん」の原画展が、45年の歴史で初めて開催! オープン初日に行ってきました!
「日ペンの美子ちゃん」原画展が凄い 時代ごとに変化する作画タッチ


会場は中野ブロードウェイ内にあり、半月ごとに様々な企画を行っている「墓場の画廊」さん。写真撮影は全てOK。入り口には等身大(?)の美子ちゃんがお出迎え。

お話を伺ったのは、今回の原画展を企画された株式会社クレイジーバンプの町隆太郎さんと田中ひとみさん。町さんは「日ペンの美子ちゃん」Twitterの反響の高さから、わずか数か月でこの奇跡の原画展を実現させたとのこと。

町さん
「親子三世代に渡りファンというかたもいらっしゃいます。
歴史が長く愛される美子ちゃんなので、各時代ごとの特徴が浮かぶようにしました」
「日ペンの美子ちゃん」原画展が凄い 時代ごとに変化する作画タッチ
株式会社クレイジーバンプ・町さん


壁には約40枚の原画が並べられていますが、本当は10倍近く準備しており、厳選した中での展示だそうです(会期中に一度入れ替えあり)。

では、早速見ていきましょう。

あなたの印象にあるのは、どの美子ちゃん?


・初代の美子ちゃん

「日ペンの美子ちゃん」原画展が凄い 時代ごとに変化する作画タッチ
初代の美子ちゃんの解説

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初代の美子ちゃんの原画


初代の美子ちゃんは、画・矢吹れい子先生、案・飯塚よし照先生のコンビによるもの。
ショートのおかっぱヘアスタイルの清楚なお姉さんというイメージです。登場人物にも時代を感じますが、それ以上に原画の紙の色あいから歴史の重みが伝わってきます。

・二代目の美子ちゃん

「日ペンの美子ちゃん」原画展が凄い 時代ごとに変化する作画タッチ

「日ペンの美子ちゃん」原画展が凄い 時代ごとに変化する作画タッチ
二代目の美子ちゃんの原画


二代目の作者は、画・森里真美先生、案・飯塚よし照先生。
軽くパーマをあて、初代よりも活発なイメージがあります。また作品中で、初代と二代目が共演することもありました。今回の展示でも、同じページに2人とも描かれている原画が飾られていました。
(なおこの後まだ3コマの続きがあります。二代目美子ちゃんに何が待ち受けていたのかは会場でチェックを!)

・三代目の美子ちゃん

「日ペンの美子ちゃん」原画展が凄い 時代ごとに変化する作画タッチ
三代目の美子ちゃんの解説

「日ペンの美子ちゃん」原画展が凄い 時代ごとに変化する作画タッチ
三代目の美子ちゃんの原


三代目の作者は、まつもとみな先生。
三等身にデフォルメされることで、コミカルなキャラクターとして確立。ストーリーにもギャグ要素が増えるなど、男性にも受け入れやすくなりました。
実際、筆者の記憶はこの美子ちゃんのイメージが強かったです。

町さん
「まつもと先生は、ガンダムのマンガも連載されていたこともあり、デフォルメやメカニックな部分などのタッチの違いが表れている絵を選んでみました」

そして、今回の原画展準備中にまつもと先生との連絡が取れ、会期後半にはサイン会の実施が急遽決定したそう!

・四代目の美子ちゃん

「日ペンの美子ちゃん」原画展が凄い 時代ごとに変化する作画タッチ
四代目の美子ちゃんの解説

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四代目の美子ちゃんの原画。ライバル出現!?


四代目の作者は、ひろかずみ先生。
ストレートのセミロングヘアの、スラリとした容姿となりました。バイトやレジャーに学園生活などのシーンも描かれ、まるで友達のような親近感が湧いてきます。

80年代後半というワープロ(当時はパソコンソフトよりは専用機のほうが多かったですね)が浸透する中で、美子ちゃんは近い距離感の存在として、ハートにあふれるボールペン字を書き続けていたんですね。

・五代目の美子ちゃん

「日ペンの美子ちゃん」原画展が凄い 時代ごとに変化する作画タッチ
五代目の美子ちゃんの解説

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五代目の美子ちゃんの原画と掲載誌(画像提供:株式会社クレイジーバンプ)


作者は、梅村ひろみ先生。
スタイルなどは四代目に近いですが、顔の長さがやや短くなり、顔色のカラーにグラデーションが使われるなど絵のタッチも現代風になってきました。デジタル化が進んだ時代ですが、だからこそ手書き文字の美しさは重視されますね。

・六代目の美子ちゃん

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六代目の美子ちゃんの解説

「日ペンの美子ちゃん」原画展が凄い 時代ごとに変化する作画タッチ
六代目、すなわち現在連載中の美子ちゃん


作者は、服部昇大先生。
現在連載中の六代目美子ちゃんは「懐かしくも、新しい美子ちゃん」がコンセプト。原稿の隣にはその下描きも掲示され、どのような形でマンガになるのか創作過程を垣間見ることができます。


文房具からスマホカバーまで、公式グッズも充実


原画展では、オリジナルの公式グッズも限定販売されています。

美子ちゃんといえばボールペン。
……ですが、学文社さんと協議を重ねたものの、ペン習字用に最適なボールペンのサイズでは、どうしても美子ちゃんを入れることができずに泣く泣く製作を断念したとのこと。

文房具は、ペンケース(1,296円、税込み。以下同)やB5ノート(702円)、シール(648円)が売られています。

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美子ちゃんノート。これで練習すれば美文字になる!?

「日ペンの美子ちゃん」原画展が凄い 時代ごとに変化する作画タッチ
どんなメッセージを書く? シールシート


田中さん
「担当のデザイナーさんも美子ちゃん好きなので、これまでの美子ちゃんの中から、これぞ!というカットを選んだ仕上がりになっています」

「日ペンの美子ちゃん」原画展が凄い 時代ごとに変化する作画タッチ
バリエーションも豊富! 美子ちゃんグッズの数々


Tシャツ(3,780円)や手帳型スマホケース(4,320円)も販売。お洒落なので日用品として使ってもワンポイントとして光ります。
「日ペンの美子ちゃん」原画展が凄い 時代ごとに変化する作画タッチ
各商品のPOPにもニヤリ。是非、会場でご確認ください!


他にもモバイルバッテリー(3,780円)、iPhoneケース(3,218円)、コンパクトミラー(1,296円)、マグカップ(1,944円)……などなど。書ききれないほどのグッズが今回のために作成されました。

――一番人気のグッズは何でしょう?

田中さん
アクリルのスタンドフィギュア(1,296円)です。2種類あるのですが、特に「オァサース!!」というセリフのものが、SNSで話題になったからか売行き好調です。小さいサイズで、自分で組み立てるという点でも人気のようです。
「日ペンの美子ちゃん」原画展が凄い 時代ごとに変化する作画タッチ
「オァサース!!」のセリフ入りフィギュア


なお、グッズを5,000円以上購入すると、六代目の服部先生のサイン会への参加券を入手(先着順・枚数限定)できます。お客さんたちは多くのグッズを購入し、参加権をゲットしていました。



実はみんな好きだった。美子ちゃんファンの熱い思い


「日ペンの美子ちゃん」原画展が凄い 時代ごとに変化する作画タッチ

「日ペンの美子ちゃん」原画展が凄い 時代ごとに変化する作画タッチ
缶バッジは全12種類。シークレットもあります。


当初は女性のお客さんが多いと予想していたとのことですが、フタを開けると男女半々ずつ。お話を聞いてみました。

<男性客>
(六代目の)服部先生のファンで、今年になってから美子ちゃんのことは知りました。こんなに歴史があるなんてすごいですね。

<女性客>
ずっとファンだったんです。ネットで原画展があると知り、来ました。昔からの作品もあって、大変貴重だと思います。

最後にあらためて町さんに、お話を伺いしました。

「これまでも様々な企画展を行ってきましたが、初日の平日だけで多くのお客様が来られて大変驚いています。今後はもし可能であれば、多くの美子ちゃんファンのために、東京以外にも全国各都市で開催できたらいいなあと思っています」

「日ペンの美子ちゃん」原画展が凄い 時代ごとに変化する作画タッチ
メッセージボートには、来場者の熱い思いがいっぱい!


服部先生も学文社のかたもみんな美子ちゃんが好きで、喜んで協力いただけたことで実現できたというこの原画展。スタッフの熱気もさることながら、お客さんの熱気も強く、あらためて美子ちゃんは長きにわたり多くの人に愛されていたんだなあと、心の1ページに深く刻まれました(きっとボールペンで!)。


<日ペンの美子ちゃん原画展>

・開催日時
2017年5月16日(火)~5月30日(火)
12:00~20:00

・会場
墓場の画廊
(東京都中野区中野5-52-15 中野ブロードウェイ3F)

・料金
入場無料

http://hakaba-gallery.jp/?p=436

「日ペンの美子ちゃん」原画展が凄い 時代ごとに変化する作画タッチ


(高柳優/イベニア)
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