この春、フジテレビ系列でスタートした2つのクイズ番組『クイズ!金の正解!銀の正解!』『潜在能力テスト』のコンセプトが、同局が過去に放送していた人気番組『脳内エステ IQサプリ』の焼き直しだと話題になっている。

はからずもフジテレビの企画力のなさを露呈することになってしまった。


『進め! 電波少年』をパクった?


フジテレビといえば、90年代に"パクリ"と批判を受けた番組を放送していたことがある。それが『トロイの木馬』(放送期間:1998年11月~1999年9月)だ。
当時、30%近い視聴率を記録するオバケ番組であった『進め! 電波少年』(日本テレビ系)とそっくりな企画が多く見られた。

ヒッチハイク旅を意識した「早押しウルトラクイズ」


『電波少年』と似た企画としてまず挙げられるのは、「アメリカ大陸縦断早押しウルトラクイズ」だろう。
2組の若手芸人(ジェット☆キッズ・竹内と安田)がアラスカからスタートし、南米大陸突端のマゼラン海峡に設置された早押し台にヒッチハイクと飛行機以外の手段で向かい、先に正解した方が勝者となる企画だ。
出された問題は「ジャイアントパンダの尻尾の色は黒か白か?」であった。

このルートは96年から97年にかけて『進め! 電波少年』においてドロンズが行ったヒッチハイク企画と同じであり(ドロンズはマゼラン海峡からアラスカへと向かった)、明らかに『電波少年』を意識した企画であった。


『電波少年』と似た企画とは


そのほかにも番組には『電波少年』に似た企画があふれていた。

■「マンガ電車」
2人のマンガ家が北海道と鹿児島からそれぞれ、その途中の旅費や食費はイラストを売って賄うことで東京の出版社を目指し、先にゴールした者は実際にコミック誌にマンガが掲載される権利が得られる。

■「佐藤VS鈴木 日本縦断無銭サイクリングレース」
苗字がそれぞれ佐藤・鈴木である2人の大学生が、無一文で北海道から自転車移動を行い、沖縄を目指す(日本人名字ランキングの1位が佐藤、2位が鈴木)。食事や泊まる場所などはそれぞれ同じ名字の人にしか助けを求めることができない。

一定のルールのもとで、行き当たりばったりの旅を行うことで、トラブルに遭遇する一方で人との交流が生まれる。収録にはかなりの時間がかかるため、スケジュールに余裕のある若手芸人や素人を使う。
そのさまをリアルタイムのドキュメントで見せていく手法は『進め! 電波少年』そのものである。


フジテレビは確信犯だった?


そもそも番組名の『トロイの木馬』は古代ギリシアにおいて、木馬の中に人を潜ませ敵を欺いた戦術である。転じてコンピューターの世界では、一見有益なソフトの中に不正プログラムをしのばせる意味で用いられる。
このタイトルを見るに、フジテレビは確信犯だったのではないだろうか。

その後、フジテレビ系の『愛する二人別れる二人』がやらせ発覚のため打ち切りとなると、『電波少年』は「電波少年的愛する二人別れる二人(やらせなし)」というパロディ企画をスタート。
これにフジテレビが抗議すると、「電波少年的トロイの木馬」をはじめると応戦した。(フジが「電波少年」を真似てることへの揶揄)。


世の中を徹底的に茶化してゆく、パロディ精神にかけては本家が勝っていたといえるだろう。


※イメージ画像はamazonより電波少年 BEST OF BEST 雷波もね! [DVD]