生放送中、忌野清志郎と篠原涼子がキス!
それは金曜日の夜。家族が囲むテレビでは『クレヨンしんちゃん』のあとに、『ミュージックステーション』が始まっています。いつもと変わらない週末のルーティンです。
しかし、忌野清志郎と篠原涼子のデュオが歌唱する番になると、平穏な空気は一変。なんと、2人は歌いながらベッタリとエロティックに絡み合い、チューまでし始めたのです!
気まずい雰囲気が漂う我が家の茶の間。観てはいけないものを観てしまった……。そんな背徳感とドキドキ感で、全身がこわばります。
同時に、『ごっつええ感じ』ではあれほど今田やホンコンとのキスを嫌がっていた涼子が、なぜこんなおっさん(清志郎)とはキスしているのだろうと、はなはだ疑問に感じたものです。
今思えば、あの頃から“女優・篠原涼子”は、完成されていたに違いありません。
状況に応じて、芸人とのキスに悲鳴を上げる「ウブな娘」にもなれれば、ステージ上でおじさんと絡み合う「大人の女」にもなれるなんて、演技者として幅がある証拠ではないでしょうか。
篠原涼子からのアプローチによって実現したデュエット
ユニット結成の経緯には、篠原涼子からのアプローチがあったのだとか。
もともと清志郎の大ファンだったという篠原は、自身のラジオ番組のスペシャルゲストとして、清志郎に出演してもらいます。篠原は、ラジオの放送中に「曲をつくってください!」と依頼。「うん、いいよ~」と清志郎のOKを得ることに成功したのです。
清志郎曰く、これは社交辞令だったとのこと。けれども、篠原から貰った彼女のアルバムを聴き、「ロックをやらせたら面白い声なのでは?」と可能性を感じ、曲づくりを決意したといいます。
際立つ篠原の「おじさんコロがしの上手さ」
以上は、中居正広が司会を務めた音楽トーク番組『TK MUSIC CLAMP』に、清志郎と篠原がゲスト出演した際、2人の口から語られたエピソードです。
この過去の映像を今見返して感じるのは、篠原の「おじさん転がし」の巧みさ。
過剰になり過ぎないさじ加減で清志郎をヨイショしつつ、適度なタイミングで「そんなこと言わないでくださいよ~!」とボディタッチを繰り返すその立ち居振る舞いは、見事の一言。市村正親もこうやってオトされたのかぁ……と邪推してしまいます。
こうした篠原の行動に、もともと物静かで人付き合いが得意でないタイプの清志郎は終始タジタジでした。
セールス的にはパッとせずに自然消滅…
かくして、「イチャイチャすること」をコンセプトとした、忌野清志郎と篠原涼子のデュエット曲は1996年11月25日にリリース。表題曲であり例のMステでも披露された『パーティーをぬけだそう!』だけではなく、カップリングとして『クリスマス・モーニング』、『つらい恋とカプチーノ』という2曲も書き下ろしており、清志郎の本気がうかがえます。
しかし、派手なパフォーマンスのわりに売上はパッとせず。結局、このシングル一枚のみでデュエットは自然消滅し、清志郎の他界によって永遠に再結成不可能となってしまいました。
あれから20余年。あれほど胸元のあいた衣装で清志郎とはっちゃけていた篠原が、今では天海祐希と並ぶ“デキル女”の代表格的女優としてパンツスーツでキメている姿などを観ると、時の流れを感じずにはいられません。
(こじへい)
※イメージ画像はamazonよりパーティーをぬけだそう!