「お前の席ねぇから!!」
このセリフを覚えている人も多いのでは?

これは、2007年に放送されていたドラマ「ライフ~壮絶なイジメと闘う少女の物語」(フジテレビ系列)の中に登場したセリフ。
過激なイジメ描写により猛烈な批判を受けもした「ライフ」だが、原作がヒット作であることも重なって、伝説的なドラマとなった。


さて、この名(?)セリフを吐いたのが、女優でモデルの末永遥。いじめグループのメンバー役で「ライフ」に出演していた。このセリフは視聴者に相当なインパクトを与え、主演の北乃きい以上に話題になったとも言える。

末永遥の近況は?


一時はその爽やかなルックスが人気を集め、ドラマやCMなどにも多数出演していた末永遥だが、最近はほとんど見かけなくなった。

2014年に、元柔道選手でアテネ五輪銀メダリストの泉浩と結婚して以来、芸能活動が減っているようだ。
現在はブログやInstagramも更新中であり、変わらぬ美貌がうかがえるが、Instagramはあまり知られていないようで、フォロワーは600人ほど。かつてのファンの中にも、彼女の近況を知りたい人は多いのではないだろうか。


現在30歳の末永だが、そのキャリアは1991年デビューととても長い。
5歳で芸能界入りし、子役としても活動していた彼女。女子小学生向けファッション雑誌『ピチレモン』(学研)のモデルや、子ども向けバラエティ番組「おはスタ」(テレビ東京系)のおはガールとしても活躍していた美少女だった。

ギャルっぽくも清純派にもなれる、甘さとクールさを兼ね備えた端正な顔立ち。制服やビキニも映えるスレンダーなスタイル。みずみずしい存在感を放っていたが、その後末永のポジションは戸田恵梨香あたりに取ってかわられてしまった感もある。


ちなみにおはガール同期には酒井彩名もいるが、酒井は2007年にL’Arc〜en〜Cielのtetsuya(当時:tetsu)と結婚し、こちらも2011年以降ドラマなど目立った出演はない。

「氷点2001」での好演


そんな末永遥の、女優としての名が広く知られることになるきっかけは、2001年のテレビドラマ「氷点2001」(テレビ朝日系)ではないだろうか。
三浦綾子の小説が原作で、1960年代からたびたびドラマ化されている名作「氷点」。末永が演じた「陽子」は殺人犯の娘とされていて、その被害者の家族の養女として育てられるという設定の複雑な役どころだった。

この役をオーディションで勝ち取った末永は、明るく素直だがのちに思いつめていくことになる少女をフレッシュに演じ、話題を集めた(ちなみに、「陽子」役は2006年に石原さとみも演じている。こちらのほうが有名かもしれない)。

1話、2話の脚本を担当(3話以降は脚本協力)したのが中園ミホであることも注目に値するだろう。
最近では「花子とアン」(2014年、NHK)、「Dr.倫太郎」(2015年、日本テレビ)、来年のNHK大河ドラマ「西郷どん」など、有名作品を数多く手掛けている脚本家だ。
ドラマの内容もさることながら、鬼束ちひろの主題歌「infection」が印象に残っている人も多そうだ。

名脇役としての末永遥


「氷点」でお茶の間の涙を誘った末永遥は、2003年には問題作の映画「バトル・ロワイアルII【鎮魂歌】」に出演。深作欣二監督の遺作となったこの作品では、藤原竜也や忍也修吾、酒井彩名らとともに、ヒロインのひとりともいえる大役を好演した。
その後も数多くのドラマ、映画、CMなどに出演したにもかかわらず、末永遥がその後主演級の役を演じることはなかった。

2006年のスーパー戦隊シリーズ「轟轟戦隊ボウケンジャー」(テレビ朝日系)での「ボウケンピンク」役も代表作となり、特撮ファンの間でも知名度を高めたようだが、視聴率はあまりふるわなかったようだ。

そんな中での2007年、「ライフ」での「オメーの席ねぇから」だ。

ネット上では半ばネタとして未だに語り継がれているほどの存在感だったが、その後の末永は、サスペンスを中心に脇役としての出演が続いている。
テレビの中にも、まだ末永遥の「席」があることを期待したい。
(空町餡子)

※イメージ画像はamazonよりライフ DVD BOX