今から15年以上前、「陰陽師」がちょっとしたブームになっていました。
流行を牽引したのは、平安時代に実在したとされる不世出の天才陰陽師・安倍晴明。
その活躍を描いた代表的なフィクション作品といえば、夢枕獏の原作を実写化した映画『陰陽師』(2001年公開)でしょう。

晴明を演じたのは狂言師・野村萬斎。切れ長の目と不敵な笑みは、妖狐と人間のハーフという伝説も納得の妖艶なビジュアル。そんな萬斎版晴明が、アクロバティックに宙を舞い、呪術を駆使して敵を倒す同作は、興行収入にして30億1000万円という大ヒットを記録。

本作が、後の歴史系アニメ・漫画・ゲームなどに登場する陰陽師及び安倍晴明像に、多大なる影響を及ぼしたことは間違いありません。

陰陽師とはいったい何者なのか?


そもそも、陰陽師とは何なのかを簡単に説明しましょう。

陰陽師とは、占術を司る古代に実在した官職の一つ。平安時代には呪術師・怨霊払い的な役割も担い、その神秘性により、一種の神格化・権威化が完成。その後、時代の変節を経て廃れていき、明治期になって完全に廃止されたといいます。
この平安時代に構築された“怨霊払いの専門家”的イメージが抽出され、現代にファンタジーとしてよみがえったのが、先述の萬斎版安倍晴明をはじめとした、サイキック超人化した陰陽師というわけです。

このように、今は無き伝説の存在である陰陽師が、現代にも存在する……。そんな触れ込みゆえに話題となった『石田千尋』という陰陽師が、かつてメディアで頻繁に取り上げられていたことを覚えているでしょうか?

「ふるえゆらゆらとふるえ…」という呪文が印象的だった


平成の世に舞い降りた陰陽師・石田千尋がテレビ初出演を果たしたのは、たしか『中居正広の金曜日のスマたちへ』(TBS系)だったと記憶しています。
石田氏は、ひな人形ライクな平安装束で登場。しっかりと冠を被り、手には笏まで持っていました。


その格好で何をするのかといえば、陰陽師稼業の華・怨霊退治。言うまでもなく、生身の人間である彼は、野村萬斎版安倍晴明のように、空を飛んだり、式神を駆使して怨敵を懲らしめたりはできません。石田氏の除霊スタイルは、対話重視型。怨霊に取りつかれている相談者の一般家庭に出向き、一人ひとりと問答を重ねながら、悪霊を追い出していくのです。

その手法は、和製・エクソシストといった趣。悪霊に身体を乗っ取られて悪態をつく相談者に、「ここの家を呪っているのはお前か?」「祟ることは止めてくれぬか?」と冷静に語りかける石田氏。そして「ふるえゆらゆらとふるえ…」と呪文を唱える……。
この対話と呪文を幾度か繰り返し、悪霊を相談者の身体から追い出していくというのが、毎回の展開となっていました。

アメブロやTwitterもやっている石田氏


そんな石田氏は現在、どうしているのかというと、オフィシャルサイトやアメブロを開設したり、Twitterをやっていたりと精力的に活動しているようです。特にTwitterは頻繁に更新しており、最近では以下のようなつぶやきを載せていました。

「良いなあ~。みんなでバーベキューとか外でカレー作って食べるのか~。
楽しそうだな~。でも、ピーマンはやだな~。悔しいからパウンドケーキでも焼こうかなぁ~。」

意外とユルキャラな陰陽師・石田千尋。怨霊払いだけではなく、さまざまな悩みを抱える人に向けた電話鑑定やケータイ占いなどにも取り組んでいるという彼の活躍に、今後も期待したいところです。
(こじへい)
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