出産後「仕事やめなきゃよかった」女性は4割、その理由とは?

出産を機に仕事をやめ、育児に専念することは特にめずらしいことではない。しかし、育児に専念したはいいものの、「仕事をやめなければよかった」と後悔している女性が約4割にも上っていることが、リクルートホールディングス社の調査でわかった。


後悔が生まれるきっかけや理由はどこにあるのだろうか。リクルートHR研究機構 iction!事務局長 二葉美智子さんに意見を聞いた。

出産を機に仕事をやめた理由は主に2つ


二葉さんによれば、女性が出産を機に仕事をやめる理由としては、主に次の2つがあるという。

(1)子育てに専念したいという自分の意思によるもの(3割程度)
(2)職場や保育などの外的要因によるもの(7割程度)

「どちらの理由であっても、特に出産前に裁量や責任感をもって仕事をされ、やりがいを感じていた方ほど、後悔されている方は多いように思います。

そして、子育てに専念したいと考えている方でも、子育てが落ち着いた後、幼稚園や小学校進学のタイミングなどに就業を希望される方が多いようです」


「子育てと両立できる条件」と「やりがい・キャリア」が折り合わない現実


「しかし、子育てが落ち着いていざ再就業を希望しても、彼女たちは勤務地や勤務時間を重視する傾向は強く、子育てによるブランクと時間や場所の制約によって、再就業する際の選択肢が思ったよりも限られているということを実感する方が多いと思われます。

子育てと両立される方が最も重視する勤務場所は『徒歩、自転車圏内』、次いで『子供に万一のことがあってもすぐに迎えに行ける距離』となっています。また1日の勤務時間は『3~4時間』『4~5時間』といった時間を希望される方が多いです。こうした条件の仕事は限られます。

とくに復職を願う女性たちは『自分の成長ややりがいが感じられる仕事』『前職のキャリアが活かせる仕事』を重視していることも多いため、そうした仕事は余計に子育てと両立できる就業条件と合わないものです。このような現実も、後悔する理由かもしれません」


「仕事をやめなきゃよかった…」を防ぐには?


そこで二葉さんに、出産を機に仕事をやめて後悔するような失敗を防ぐ対策を教えてもらった。

1.理解のある職場・支援制度などが充実した職場を選ぶ
「後悔する出産離職の最も多い理由は『職場』にあります。上司や同僚の職場理解や会社の各種支援制度がきちんと運用されているかどうか、勤務形態が柔軟かどうか、これらが離職を防ぐポイントになると思います」

2.選択肢を狭めないための前準備を
「もし出産などで自分に時間的な制約ができたとしても、選択肢を狭めることのないよう、出産前からスキルを身につけたり、常に効率的な業務を行うことを心がけたりしておくといいと思います。時間的な制約があっても、周囲から頼られるくらいの成果を出しておいて、信頼残高を増やしておく。そういったこともポイントとして挙げられる専門家も多いです」

自分自身の対策はもちろん必要ではあるものの、社会全体、職場自体の意識、制度などの改革も必要だという。


「後悔している女性の特徴の一つに、配偶者に残業が多く、自分が働く時間の融通が利かない、ということが挙げられます。現在政府が進めている『働き方改革』が進めば、女性自身が両立をしながらも働きやすい環境になると同時に、パートナーも育児に参加できるようになると思います」

(石原亜香利)

取材協力
株式会社リクルートホールディングス
リクルートHR研究機構 iction!事務局
事務局長 二葉 美智子さん
「iction!(イクション)」は、「子育てしながら働きやすい世の中を、共に創る」をキーワードに、「はたらく育児」を応援するプロジェクトです。
「iction!」についての詳細は
http://www.recruit.jp/company/csr/contribution/iction/
編集部おすすめ