■THE ORAL CIGARETTES/【唇ワンマンツアー UNOFFICIAL DINING TOUR 2017】ライブレポート
2017.06.16(FRI)at 日本武道館
(※画像18点)
武道館に思い入れなんてない。でも俺らは、俺らを好きな人で埋まってる武道館に思い入れがあります。
「俺らが武道館をやるのは1回じゃないと思う。これから2回3回4回5回6回7回と絶対やっていくバンドになるから」。初の日本武道館のステージで山中拓也は決意を込めて、ここがゴールではないことを何度も口にした。THE ORAL CIGARETTESが今年2月にリリースした3rdアルバム『UNOFFICIAL』を携えた全国ツアー『UNOFFICIAL DINING TOUR 2017』のファイナルとして開催した初の武道館ワンマン。チケットは一般発売の直後にソールドアウトとなり、1万2,000人が埋め尽くした会場で、彼らはここから始まるバンドの新たな物語への“架け橋”となるライブを見せてくれた。
ダークファンタジーのようなオープニング映像が流れたあと、山中がひとりエレキギター1本を奏でて歌い始めた「5150」からライブはスタートした。あきらかにあきら(Ba)、鈴木重伸(Gt)、中西雅哉(Dr)によるバンドの演奏がそこに加わり、ステージ前面からは6つの炎が吹き上がる。会場は2階席のいちばん後方まで文字通り総立ちだった。怒号のような歓声と熱気が渦巻くなか「Shala La」では色鮮やかなレーザーがお客さんの頭上を走り、「カンタンナコト」ではスクリーンに都会の無機質なグラフィック映像が映し出され、「悪戯ショータイム」では巨大なミラーボールによって会場が無数の光が包まれた。この日は1曲ごとに広い武道館の会場に相応しいハイスケールな演出が用意されていたが、その迫力に負けないパフォーマンスの凄みで4人は1万2,000人と対峙していた。
「いままでロックバンドの先輩たちが武道館に歴史を刻んできたと思います。俺らも武道館の歴史に名前を刻めるのがうれしいです。
初武道館とはいえ過去の全てを総括するというよりも、あくまでライブは最新アルバム『UNOFFICIAL』の曲を中心に進んでいった。中盤のハイライトとなったのは「不透明な雪化粧」から「エンドロール」へと続いたバラード2曲。スクリーンに静かに舞う雪の結晶、それがやがて光が差すほうへと私たちを導いていく。「あなたたちに大切な人はいますか? 俺は今日ここにいるあなたたちのエンドロールに名前を刻みたい」(山中)。序盤の狂騒が嘘のように会場のお客さんはじっとその歌と言葉に耳を傾けていた。
『UNOFFICIAL』のジャケ写を飾る毒々しい心臓がスクリーンでゆっくりと脈打ち、それが錆びた歯車に変わったところで、突如“キラーチューン祭り”が始まった。オーラルの楽曲のなかでも、とりわけライブで盛り上がる楽曲を集結させる人気コーナー、それをバンドの歴史を振り返るかたちで届けていった。2013年の「Mr.ファントム」にはじまり、2014年のメジャーデビュー曲「起死回生STORY」。
ラスト1曲を残して山中はギターを掻き鳴らしながら語りかけた。「俺らはずっと武道館を“通過点だ”って言い張ってきました。武道館に思い入れなんてない。関西のバンドやし。
アンコールでは「ここから、この4人の船は大きく動き出す。みんなに乗ってほしい。ここから作る景色にみんなが映ってほしい」と山中が言うと、この武道館ライブの2日前にリリースされた両A面シングル『トナリアウ / ONE'S AGAIN』の2曲を続けて披露した。
■THE ORAL CIGARETTES オフィシャルサイト