
今、盆栽にハマる女性たちが増えているといわれている。
しかし、盆栽というと、身近なところでいえば「サザエさんの波平さんの趣味」といったイメージがある。
そこで、その謎を探るべく、女性盆栽家の真柄弥沙(まがら みさ)さんにいろいろと聞いてみた。
若い女性に盆栽がウケている理由

真柄さんによれば、若い女性に盆栽が人気の理由は次のことが考えられるという。
1.花が咲くもの・実がなるものなどの可愛い盆栽が増えた
「私も昔はおじいさんの趣味という印象が強かったです。昔の『ザ!盆栽』というものは、松をチョキチョキ切るような、まさにサザエさんの波平さんがやっているようなイメージでした。
しかし、いま盆栽は、桜や皐月、梅など花が咲くものや、柿、りんごなど実のなるものなど、とてもたくさんの種類が目につくようになっています。このことから、女性としては『盆栽=渋い!』から、『盆栽=可愛い!』になってきているのかもしれません。本当、可愛いですし」
2.手がかかるからこその貴重なツール
「また、癒しが求められる現代において、植物の持つ癒しの力が注目されていることもあるのではないでしょうか。手がかかって大変な盆栽ですが、その手がかかるという部分が、たくさんモノがあふれ何でも手に入る時代に、唯一無二の何かを大切にするということを体験する貴重なツールとなっているのかもしれません」
盆栽は「大自然の大樹をスモールライトで小さくしたもの」を目指す遊び

ところで真柄さん自身、盆栽のどのような点に魅了されているのだろうか。そもそも独学ではじめたのは10代の頃だったという。
「盆栽は生きた芸術とも呼ばれ、『大自然の大樹をスモールライトで小さくしたもの』を目指し、何年もかけてお手入れを行う遊びです。私は10代の頃に『オシャレだな』と思って盆栽を始めました。もともと、和の小物などは好きだったのですが、盆栽は和風の雰囲気を醸し出しており、小さい木なのに自然のダイナミックが感じられるすごいものだなと思ったのです。やってみて、さらにたくさんの魅力に気づくとはその時は思ってもみませんでしたが…」
楽しみ方に男女差も

興味深い盆栽の世界。
「男性はプラモデル感覚で、大自然の縮小版の木を作ることを楽しんでいらっしゃる方が多いような気がします。一方、女性は盆栽に名前をつけるなど、手間ひまや愛情をかけてまるでペットのような感覚で大切にしている方が多いと感じることがあります。
盆栽に癒しの力があるとか、自然を感じられるというところは男女共に同じなのですが。また、男女どちらも、植物を大切にされる、とても心のお優しい方が多いと感じます。盆栽する人に悪い人はいないと思いますね・笑」
盆栽はもはや年齢・性別問わず楽しめる「遊び」の一つであるようだ。そして楽しみ方も人それぞれ。優しい心を取り戻したいと思ったら、盆栽をはじめてみるのもいいかもしれない。
(石原亜香利)
取材協力
盆栽家 真柄 弥沙(まがら みさ)さん
10代の頃より独学で盆栽を始め、盆栽による空間デザインの依頼がきっかけとなり、小品盆栽協会専務理事である浦部達夫氏に師事。手が出しにくい、難しい、といった盆栽に対する敷居の高いイメージを、より身近なものとしてたくさんの人に伝えるため、空間デザイン、盆栽の卸、小売、リースなどを行う「BONSAI盆凡。」を立ち上げる。
はじめての人でも楽しめる教室をモットーに、盆栽講師としても国内外で活躍中。狂言や着物、お茶など、日本文化とのコラボレーションイベントなどにも多数出演している。
Instagramアカウント:bonsai.bonbon.misa
ホームページ:http://www.bonsai-bonbon.com