
企業が労働者の安全や健康を確保するための対策に積極的に取り組み、高い安全衛生水準を維持・改善していると厚生労働省から認定を受けると、「安全衛生優良企業」と称することができる。2015年6月1日に始まった制度であり、通称「ホワイトマーク認定」という。
このホワイトマーク認定、なかなか認定されるのがむずかしいといわれる。とくにむずかしい基準はどこなのか、ホワイトマークの取得を推進・サポートする、非営利一般社団法人 安全衛生優良企業マーク推進機構(SHEM)に聞いた。
ホワイトマーク認定とは?

そもそもホワイトマーク認定にはどのような認定項目があるのか。SHEMの理事長・木村誠さんは次のように教えてくれた。
「ホワイトマークは、厚生労働省労働基準局にある『安全衛生部』というところが所管しています。正式名称は『安全委衛生優良企業公表制度』といい、2015年6月1日にスタートしました。労働者にとっては労働基準法に次ぐ重要な法律である『労働安全衛生法』をもとに策定されているため、コンプライアンスを厳格に守れているかというところが認定のポイントとなっています。
主な大項目としては、過重労働、メンタルヘルス、受動喫煙、健康づくり、安全衛生活動などとなっています。製造業、非製造業と基準項目数に差はあるものの、70項目を超えるクリアすべきものがあります」
クリアするのがむずかしい項目は?
このホワイトマークは、いわゆるブラック企業ではないことを対外的にアピールできる、企業にとっては有益な認定といえる。
しかし、そう簡単には取得できるものではないという。どのあたりがむずかしいのか、木村さんは次のように語る。
「多くの企業がむずかしいとされるのが、過去3年間の有給消化率が70%以上であるか、過去3年間に2カ月連続で80時間を超える長時間労働者がいなかったか、といった部分です。
また、健康診断の有所見率が3年連続して改善しているかといった点が挙げられます。総合的には、全体の80%以上で認定取得となります」
認定取得のポイント
確かに有給消化率や長時間労働者などは、多くの企業で課題となっている。
「いずれの項目についても、会社のトップ自らが目標を立ち上げ、全社員の前で宣言し、規程などに盛り込むことが重要となります。海外では、部下の達成できなかった行いは、上司の評価や給与に反映されるほど厳しい罰則があります。日本はそこまでしている会社はまだ少ないですが、そういった厳しいルールを実施するために、今最も話題となっている『働き方改革』を活用するとよいでしょう。
このホワイトマークは、労働者の健康と安全を担保し、働く環境を整えるために経営者が決断するものですから、おのずと会社と労働者のベクトルは同じ方向を向き、立派な経営戦略となります。そこに気づいた経営者がホワイトマーク取得に動いているといった現状があります」
(石原亜香利)
取材強力
非営利一般社団法人安全衛生優良企業マーク推進機構
理事長 木村誠さん
ミッションは、「就活生が安心して就活できる社会の実現」そのために、ブラック企業とホワイト企業を判別するサイト『優ジロウ』を開設。多くの就活生に活用されている。
優ジロウでは、いわゆる国のお墨付き「ホワイト企業マーク5種盛」の一覧表示が可能となっており、自分の受けたい企業を検索することも可能。
http://shem.or.jp/yujiro