夏フェスの熱中症対策、ネットの噂は正しい? 医師に聞いてみた
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夏に増える野外フェス。もちろんライブハウスやコンサート会場でのライブも各地で開催される。
しかし気になるのが炎天下、もしくは狭いライブハウスの密集した中で、猛烈な暑さにさらされること。よくライブ中に熱中症者が出たというニュースを耳にする。

夏のライブに参加するときの熱中症対策として、ネット上ではさまざまな対策が挙がっている。これらについて、有効かどうか医師に教えてもらった。

みんなのライブ熱中症対策に内科医がコメント


今回コメントをくれたのは、ジェネラルクリニック福岡の内科医、梶原由美先生だ。

●水分をとる
まずは、ライブの熱中症対策として多くの人が実践している、水分をたくさんとること。これは基本の対策となるだろう。

「水分は、ライブ前からこまめにとることが必要です。また、汗から失われるミネラル(電解質)を補うためにもスポーツドリンクや経口補水液を飲むことをおすすめします」(梶原先生)

●塩飴をなめる
中には、市販の塩飴をライブ前になめて予防する人もいた。

「汗から塩分が失われていくので、適宜塩分を摂取することが大事です。ナトリウム(塩分)などのミネラルが不足すると、けいれん、意識障害を引き起こす可能性があります」(梶原先生)

●牛乳を飲む
熱中症対策の水分といえばスポーツドリンクだが、牛乳がいいという噂もある。

「牛乳にはアルブミンというタンパク質が含まれています。アルブミンには血管内に水分を引き込んで、血液量を増やす作用があります。

血管内が水分不足の状態になり『血管内脱水』になると、汗をかきにくくなって熱中症を引き起こします。そのため、牛乳を飲むことで血管内の血液量が増えると、汗をかきやすくなり体温調節がしやすくなります」(梶原先生)

●体を冷やすスプレーを使う
市販の体を冷やすスプレーを持参するアイデアもあるようだ。これについてはどうか。

「洋服の上から体を冷やす市販のスプレーは、熱い体を瞬時に冷やすことができます。また、水スプレーも熱中症予防に有効です。素肌にかけるだけで、水分が蒸発するときに体表の温度が下がります」(梶原先生)

熱中症にならないようにするコツ


最後に、この夏、ライブ中に熱中症にならないようにするためのコツを梶原先生に教えてもらった。

「ライブ前にスポーツドリンクや経口補液剤を500mlペットボトル半分程度飲んでおき、ライブ中は残りの水分をのどが渇く前にこまめに飲み、適宜、塩飴など取り入れるとよいでしょう。
体温が上がると汗がたくさん出るので、保冷剤をタオルで包んだものなどで首元を冷やしてみるのもよいでしょう」

(石原亜香利)

取材協力
梶原 由美先生
日本内科学会 内科認定医、抗加齢医学会 認定医、日本医師会 認定産業医、ICAA理事・アロマセラピスト、JAAアロマコーディネーター。
金沢医科大学 医学部 卒。金沢医科大学病院にて小児科・内科研修。大阪・神戸・東京・福岡の民間病院で勤務後、ジェネラルクリニック福岡開業。
http://generalclinic-fukuoka.jp
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