
おはじきサッカーとは
分かりやすくいえば棒がついていないテーブル・サッカーであり、指でフィギュアを弾きながらゴールを目指していく。下記にあるおはじきサッカーW杯の動画を観ると分かりやすい。
ルールを要約すると、下記の通りになる。
・攻守に分かれて、プレー。
・攻撃側は弾いたおはじきをボールにぶつけながらゴールを目指す。弾いたおはじきがボールに当たらない場合は攻守交代。
・守備側はおはじきを弾いて攻撃側の進行方向を邪魔するように、守備をする。
・シュートエリアに入った場合のみ、シュートを打てる。その際は、ボードに指を引っかけて強く弾くことが許される。この一連のシュート動作は、シュートエリアにボールが入った時にしかできない。
この他にも親指の使用禁止などの独自のルールを設けてられているが、オフサイドやPKなど実際のサッカーで用いられているルールも存在する。
このゲームは、70年前にイギリスの玩具メーカーであるサブティオが発売した商品が由来である。世界では幅広く愛されており、ウイニングイレブンやFIFAなどのテレビゲームが発売されるまでは、家庭用のサッカーゲームの代名詞だった。世界一を決めるワールドカップは25年前から開催されており、欧州での認知度は高い。また、英語では「スポーツ・テーブル・フットボール」や「サブティオ」と呼ばれている。
日本代表が奮闘!おはじきをぶつけてゴールを目指せ!
6月10日、各国の誇りをかけて「おはじきサッカーアジア杯」の火蓋が切られた。この大会は日本、シンガポール、オーストラリアが参加しており、中でもシンガポールは連覇中の強豪国。日本代表は大会参加国中で実力が劣ると言われていたが、格上の国々に一泡吹かせようと彼らは真剣な表情で大会に挑んだ。

団体戦前の開会式では参加国紹介や国歌斉唱などの催しが行われる。サッカー日本代表と同じく、青いユニフォームを身にまとう選手たちは静かに闘志を燃やしていた。

団体戦の開会式も終わり、戦いのゴングが鳴らされた。日本代表の対戦相手は最強の敵である前回王者シンガポール。彼らは前回覇者相手に奮闘するも(鴻井会長が1得点)、4-0で破れてしまった。

続いて最終戦となるオーストラリア戦では、日本代表が意地を見せた。幾度(きど)貴文選手が格上と目されていたオーストラリア代表選手に勝利。だが幾度選手が値千金の勝利をあげたものの、団体戦の結果は1-3と力つきた。

大会はシンガポール代表の三連覇に終わり、各国の威信をかけた熱闘は閉幕した。圧倒的な強さを見せたシンガポール代表であっても、W杯に出場すれば欧州勢に手も足も出ないという。アジアの壁は厚かったが、世界の壁は途方もない分厚さだと筆者は痛感した。だが、幾度選手の勝利や14歳の加藤選手ら若手勢の奮闘は大きな収穫だ。いずれ彼らが成長すれば、日本代表が勝利をつかむ日が来るかもしれない。

セドリック・ガルニエ日本代表コーチ、日本代表・幾度貴文選手にインタビュー
試合後にセドリック・ガルニエ日本代表コーチと幾度貴文選手にインタビューを敢行。二人ともおはじきサッカー愛あふれるコメントを頂いた。

幾度貴文選手は、今大会団体戦で唯一白星を挙げた期待の若手だ。強豪のシンガポール戦については、「彼らは全体的にミスが少なかった。僕たちのミスを付け入られた」と冷静に日本代表の課題を述べる。一矢報いたオーストラリア戦は「相手のディフェンスが悪く、隙をつく攻めがゴールに結びつきました」と爽やかな笑みを浮かべた。彼があげた金星は日本代表にとって、未来につながる勝利となるだろう。幾度選手は「目標はW杯優勝、今後については普及活動を頑張ります!」と頼もしい抱負を語ってくれた。彼のような若い世代が台頭していけば、W杯優勝も夢物語ではないだろう。

セドリック・ガルニエ(以下セドリックさん)日本代表コーチはユース世代のEURO(欧州選手権)、W杯出場経験を有し、W杯U-19部門では団体戦準優勝、個人ではU-15で入賞経験のある強者。さらに祖父は国際おはじきサッカー連盟創設メンバーであり、おはじきサッカーのサラブレッド的存在だ。なぜ、彼がおはじきサッカー日本代表コーチを務めているのかを聞いた。セドリックさんが来日したきっかけは、イギリスの大学で留学生だった奥さんとの出会いだった。2012年に訪日、今年の10月で5年目になる。「日本のレベルを上げることが僕の目標」と柔らかい口調で語った。彼は出身国のフランスで行われていた国内王者を決するカップ戦に招待されていたが、アジア杯を優先して辞退。日本を強くするという熱意は、言葉だけでなく姿勢からも垣間見られた。

サッカーの話を彼に振ると、「僕はASモナコの選手たちと会ったことがあるんだよ」とセドリックさんははにかむ。彼はモナコで開催されていたユース世代の大会に出場した際、当時フランス王者だったASモナコの選手たちと遭遇。それからセドリックさんはASモナコ一筋であり、彼らを模したデザインのおはじきサッカーフュギュアを揃えるほどクラブを愛している。最後に彼は「日本代表を強くしたい」と力強く話した。遠い異国で「おはじきサッカー」を盛り上げることはなかなか難しいと話していたが、セドリックさんはそれを満喫している。彼の冒険は始まったばかりだ。
最後に足立区新田地域学習センターでは、月2回おはじきサッカーの体験会が実施されています。おはじきサッカーに興味を抱きましたら、是非体験会に参加をご検討ください。
(高橋アオ)
■おはじきサッカー協会
Twitter:@subbuteojapan
■新田地域学習センター