
絵描きなどの職人系の仕事をしている人は、ある程度高いレベルまで達すると、「スランプ」に陥るというのをよく聞く。「なぜか急に描けなくなった」というものだ。
スランプとは自分で作り上げた「枠」のこと
そもそも、スランプとは何なのか。宮島先生は次のように教える。
「誰もが、今までやってきた仕事は、当然、自分の中で『最大だ』と思ってやってきたことでしょう。そうすると、長年の習慣の中で、自分の中に『ここまで到達しなければならない』という『見えない壁』ができてきます。この壁が高くなればなるほど、ふとしたときに『自分にはできない』と思い込んでしまいがちです。その『できない』と思い込んでしまう壁が四方に立ちふさがり、『枠』となって身動きが取れなくなった状態をスランプといいます」
しかし、スランプはこのようにネガティブな面がありながら、ポジティブな面もあるという。
「スランプは必ずしも悪いものではありません。もしかしたら、そのスランプが新しい能力開発の出発かも知れないからです。新しい目標設定を作るきっかけとなり、スランプが新しいスタートラインになることもあるでしょう」
スランプはどの職業でも起こり得る

このスランプ、絵描きのような職人だけでなく、一般的などんな職業でも起こり得るという。
「どの職業の方でもスランプは起こり得ます。スランプは、真剣にやっている人なら、必ず、多かれ、少なかれ、体験することです。
スランプを回避する方法は?
しかし、スランプに陥ってしまうと、仕事にならなくなる。スランプを回避する方法はあるのだろうか。
「スランプを回避するには、日頃から『枠外思考』をすることです。
枠外思考というのは、今までの枠からまったく外れて、違う角度からやってみること。環境を変える、出会いを変える、新しいことを試みる、他の分野から学ぶなど。
絵描きなら、音楽やスポーツから学ぶ。その分野で最もトップクラスの人から学ぶなどが考えられます。ゴッホやピカソに出会ったとたんに変わります。
このように、今までの枠からまったく外れてみる、枠外思考をしてみることが、スランプを回避するポイントです。また、スランプに陥ってしまったときに脱するきっかけとなることでしょう」
スランプをできるだけ早く抜け出す方法は?
もしそれでもスランプに陥ってしまったら、どうすれば素早く抜け出せるだろうか。宮島先生は次のようにアドバイスする。
「スランプという言葉を自分の潜在意識から取ることです。
そして一番早いのは、スランプから抜けるための協力者である、指導者や近道を知っている人と積極的に出逢うことです。先生、監督、コーチ、先輩などの指導を受け、近道を案内してもらうのです。このときには素直に教えに従うことが大切です」
(石原亜香利)
取材協力
精神保健指定医 認定産業医 宮島 賢也先生
自分のうつで7年間薬を飲む経験で薬では治らないと気付き、潜在意識を書換、食事を変え、自分のうつを卒業する。前のクリニック閉院後に、YSメソッドに出会い、潜在意識より深い層の本当の自分に気付き、2016年8月からYSこころのクリニック院長。
YSこころのクリニック
http://shingaclinic.com/