
絵描きなどの職人系の仕事をしている人は、ある程度高いレベルまで達すると、「スランプ」に陥るというのをよく聞く。「なぜか急に描けなくなった」というものだ。このスランプはなぜ起こるのか。そして他の一般的な職業でも起こるのか。YSこころのクリニック院長の宮島賢也先生に聞いた。
スランプとは自分で作り上げた「枠」のこと
そもそも、スランプとは何なのか。宮島先生は次のように教える。
「誰もが、今までやってきた仕事は、当然、自分の中で『最大だ』と思ってやってきたことでしょう。そうすると、長年の習慣の中で、自分の中に『ここまで到達しなければならない』という『見えない壁』ができてきます。この壁が高くなればなるほど、ふとしたときに『自分にはできない』と思い込んでしまいがちです。その『できない』と思い込んでしまう壁が四方に立ちふさがり、『枠』となって身動きが取れなくなった状態をスランプといいます」
しかし、スランプはこのようにネガティブな面がありながら、ポジティブな面もあるという。
「スランプは必ずしも悪いものではありません。もしかしたら、そのスランプが新しい能力開発の出発かも知れないからです。新しい目標設定を作るきっかけとなり、スランプが新しいスタートラインになることもあるでしょう」
スランプはどの職業でも起こり得る

このスランプ、絵描きのような職人だけでなく、一般的などんな職業でも起こり得るという。
「どの職業の方でもスランプは起こり得ます。スランプは、真剣にやっている人なら、必ず、多かれ、少なかれ、体験することです。スランプに気が付かない人は、逆に毎日同じことをして惰性でやっているのかもしれません。スランプに悩むということは何かを破ろうと真剣に生きているのです」