NHKの情報番組『おはよう日本』(7月4日放送)で、「公立小中学校の教員不足」が特集された。そこで紹介された対策がネット上で話題になり、呆れる声も上がっている。


教員不足の原因は非正規雇用


NHKが全国67の教育委員会に取材したところ、今年4月の始業式の時点で、32団体が定数を確保できておらず、少なくとも717人の教員が不足していることが発覚。教頭が担任を兼務したり、中には授業が通常通りにできなくなる学校もあるという。

教員不足の大きな原因として、同特集では欠員を補充するための「臨時採用」の教員が確保できないことを挙げた。少子化が進み、今後も子どもの数が少なくなっていくことが予想されているため、教育委員会が正規採用の数を減らして臨時採用枠を増やす方針を取っていることが背景にあるとしている。


文科省の対策は「やりがい」の発信


対策について文科省の担当者は、働き方など待遇面の改善が論点にあがることを認めつつも、「教員の仕事の重みとかやりがいが、ひとつの選択肢として確実に出てくるような魅力の発信」を進めていきたいとインタビューに回答。
一方で専門家は、国が税源を確保して教員の採用計画を長期的に再検討する必要性を指摘した。

同番組の内容は大きな反響を呼び、特に文科省の対策については呆れる人や憤りを覚える人が続出。ネット上では「確保出来ない理由が当たり前過ぎて非常に馬鹿馬鹿しい」「え? やりがい搾取ですか」「対策が『報酬』じゃなく『仕事の重み』とか『やりがい』『魅力の発信』になっている時点でダメだ」といった声があがっていた。

三重大学名誉教授で教育学部特任教授でもある奥村晴彦さんは、同特集を受けて「低賃金で応募が少ないと誤解している人がいるが、そうじゃなくて、競争率はけっこう高い。でも新規採用をケチって非正規で埋めようとする。非正規じゃ生活できないから、なかなか埋まらない」とツイートしている。




教員の待遇改善で夏休みを減らす学校も


教員不足が続くなかで、残業時間の多さも度々指摘される。
静岡県吉田町では、小学校教師の月の平均残業時間が約58時間、中学校教師にいたっては約90時間と月ごとの過労死ライン基準である80時間をオーバーしていた。教職員は法律上、残業代も支給されない。そのため同町では、来年度から1日の授業時間を短縮することを決定。代わりに登校日数が増え、夏休みが最短16日間になるという。
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