第16週「アイアイ傘とノック」第91回 7月17日(月)放送より。
脚本:岡田惠和 演出:堀内裕介

91話はこんな話
みね子(有村架純)は、彼女の周辺をうろついていた愛子(和久井映見)と、ついに再会する。
向島電機が倒産し、乙女たちの次なる進路を見届けた愛子は、まだ職を探していた。
34話で「(悲しいことをたくさん体験した分)もうね、大変なことになってしまうわよ、これからの私は」と強気だった愛子だが、それを忘れかかるくらい、困っていた。
ところが、省吾(佐々木蔵之介)に一目惚れ、たちまち元気になってしまう。勢いづいて、就職まで決まった。
無敵の愛子さんは、健在だ。
「図々しくならなくちゃ女は」「ありがとうございます、現れて頂いて」「失恋させないでください」と名言も連発した。
三男、やっぱり婿問題
三男(泉澤祐希)が久しぶりに登場したと思ったら、視聴者の多くが薄々予想していた、婿養子問題がついに勃発。ただ、予想を超えていたのは、三男との結婚話が持ち上がった米屋の娘・さおり(伊藤沙莉)の本名が、“米子”だったことだ。想定内の出来事に、想定外のことをプラスすることで、予定調和感を薄めることができる(脚本を書こうとしている人は見習って!)
さらに、90話でなにやら画策していたお兄さん・太郎(尾上寛之)が上京してきて、話が勝手に進行してしまう。
三男はどうなるのだろうか!
島谷(竹内涼真)も、実家から帰ってきて浮かない顔をしている。
全く知らない人(愛子)から突然告白されて、戸惑いを隠せない省吾も含め、男たちは皆、悩ましい気持ちを抱えている。それに比べて、女たちは「恋せよ、乙女」とばかりに、マイペースに浮かれ気分。
みね子なんて、地面にアイアイ傘を描くほどのウブさである。
だがしかし、愛子が出てくると、どうもみね子のヒロインらしさが薄れる感じが否めない。
愛子のほうが「明るく・元気に・さわやかに」という朝ドラ三原則にふさわしく、みね子は、表面はニコニコと肯定的にふるまいながら、心の中では、かわいい程度とはいえ、他者に毒づいているところに“陰”のイメージがつきまとう。
いや、みね子は、ヒロインとしてまだ発展途上なのだ。愛子のように明るくなるか、ダークサイドに堕ちるか、グレーになるか・・・島谷との恋がみね子を変えるのだろうか。
(木俣冬)