「七夕の短冊、子供の頃は素直に願いを書いた。けれど、大人になると書かなくなる。
なぜだろう。どんなに願ったところで、叶わないことがあると知ってしまったからだろうか」ーーゆっくりと歩く藍沢耕作(山下智久)の背中。「コード・ブルー」が帰ってきた。
「コード・ブルー」1話。山Pがガッキーに「興味深い」って興味深い!
3rdからは安達奈緒子が脚本を手掛ける
ノベライズ『コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命 』林 宏司 沢村光彦/扶桑社文庫

7年ぶりの「コード・ブルー」3rdシーズン


「コード・ブルー」(フジテレビ系/月曜夜9時〜)は、ドクターヘリで人命救助に当たる、フライトドクターの奮闘を描いた物語で、今回で3rdシーズンを迎える。
舞台は翔陽大学付属北部病院の救命救急センター。救急搬送に加えて、ドクターとナースがヘリで現場に駆けつける、救命医療専用のドクターヘリを持つ高度救命救急センターだ。

救急患者の受け入れ要請のコールが鳴り、相変わらず慌ただしい翔北救命センター。白石恵(新垣結衣)はスタッフリーダーとなりセンターを仕切る。彼らの師匠である、黒田(柳葉敏郎)や内科医の父親との約束を果たすべくやってきた成果だろう。どこか迷いがあった昔とは違って、キリッとした表情に成長を感じる。2ndシーズンでも机にスネをぶつけていたが、今回も閉まりかけのエレベーターの扉に激突していた。ちょっぴりドジなところは健在でかわいい。

患者と共に救急車から登場した緋山(戸田恵梨香)。
相変わらず気の強い性格だが、頼もしい。センターを離れて、周産期医療センターで産婦人科医の道を歩んだが、翔北の救命に復帰する。待ってたよ、緋山先生!
2ndシーズンはタートルネックで隠していた胸の大きな傷も、隠さずにいる。医師として自信を取り戻したか。

藤川(浅利陽介)も、無事に救命医の認定をもらって、新人の教育係になった。1st、2ndから比べたら大出世だ。ただ、家に帰れないほど忙しく、フライトナースの冴島はるか(比嘉愛未)と同棲中なのに大丈夫だろうか。

一方、フライトドクターの認定を受けたものの、脳外科に異動した藍沢。
オペ終わりの着替えのシーンで見せた胸筋から腕の筋肉に、貫禄を感じる。小さな変化を感じるのもシリーズドラマの楽しいところ。
藍沢は表情豊かなタイプではなく、感情を露わにしたのは祖母やプライベートにでの問題に直面した時くらいで、仕事中はほぼ険しい表情をしている。トロント大学でレジデント受け入れの話を聞き、ライバル新海広紀(安藤政信)を前に、右頬が少し上がった。
難しいことほど面白がる藍沢が次に目指すのはこれか。

3ndシーズンは新人教育


「なんか想像以上に悪いね、今の救命」
緋山が呆れるほど散々な状態の翔北救命センター。人手不足、それも使えない…と言っては失礼だが、新人フェローたちがとにかく動けない。
救命にいながら、おそらく個人のスマホを見ている名取颯馬(有岡大貴)、遅刻してもヘラヘラと笑顔を浮かべる横峯あかり(新木優子)。ヘリが接近すれば耳を塞いじゃうし、ヘリの風に吹き飛ばされそうになる、明らかに頼りない灰谷俊平(成田 凌)。唯一、見込みがありそうなのは、フライトナースを目指す雪村双葉(馬場ふみか)だろうか。
事故現場へ急行した時も、建物の間に挟まった重症患者を前に、状況すらも伝えられずたじろぐ横峯を筆頭に、誰も役に立ってない。
みんな、なぜ救命を希望したの……。

藍沢たちのフェロー時代は、ここまで酷くはなかった。当然いろんな問題はあったけれど、何があっても突き進む藍沢を筆頭に、白石、緋山も一時は自信を失い、迷い、怯えるも、もがきながらも食らいついた。突っ張っていた緋山も、合コンのメールはエレベーターの中でチェックしてた。一番出来の悪かった(ごめんなさい)藤川も、ムードメーカー的な役割を果たしながら、前を向いていた。



「戻ってこないか、藍沢」
コンサルで救命に来ていた藍沢に、救命部の部長・橘啓輔(椎名桔平)が声をかける。橘の言葉に周囲は静まり、変な空気が漂う。橘先生、それ禁句だったのでは。
「すいません、救命に戻るつもりはありません」
ですよねぇ、といわんばかりの藤川の表情が、同期でも触れられない感が出ていた。

それでも、白石のオペで頼りないサポートをしていた新人を見て、たまらず手を貸した藍沢。祭りの事故現場でも、最後の手段、祈るように白石が電話をした時も現場に駆けつけてくれた。
「来るならもっと早く来いよ」ちょっとニヤけて、緋山節が出た。

負傷者多数、混乱する現場で、指揮官になれと白石に本来の役割を伝える藍沢。
「治療ができる医者は他にもいる、藤川に、緋山……それに俺もいる」
仲間がいることも嬉しいけど、「俺もいる」がどれだけ心強いか。

救命出身者として戦力不足の現状を放っておけなかったのか、1話の最後で、救命に復帰した藍沢。ひとまずは安心できそうだけど、藍沢のトロント行きが決まれば秋にはセンターを去ってしまう。もう一人、センターの柱である三井先生(りょう)も、入院中の息子のために救命を去ることが決定している。

センター自体がぐらついた状況でスタートした「コード・ブルー」3rdシーズン。

「お前は面白い」藍沢が白石に言った言葉が気になる。医師として、戦友として、タッグを組んでいい仕事ができそうと期待を寄せているのか、それともこれまで一切描かれていない藍沢の愛情が含まれているのか、言葉の意味が気になる。
2話は今夜放送。
(柚月裕実)
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