先週放送の第3話は「嘘をつくこと」がテーマだった。ドラマの構造自体、事実をベースにしつつ巧みに嘘を織り交ぜたもので、どこまでが本当でどこまでが嘘かわからない。とても自己言及的なテーマだと思う。

映画界のレジェンドの名前で罵倒する村上淳
死体役ばかりで売れない役者の西尾(永山絢斗)がいつものように大森南朋(大森南朋)らと居酒屋「ふじ」で飲んでいると、水川あさみ(水川あさみ)が飛び込んできた。熱愛を疑われて、週刊誌の記者に追われているのだという。西尾は水川あさみをかばうために一芝居打つよう周囲から求められるが、チキンな西尾は何もできない。
一方、西尾はバイト仲間の工藤(村上淳)や好意を寄せる鯨井(飯豊まりえ)に「ドラマのレギュラーが決まった」「インディーズ映画に主演することになった」とつい見栄を張って嘘をついてしまうのが悩み。この手の嘘はすぐにバレるからね……。
ワイルドな風貌の工藤が「正社員の俺よりシフトに入っているシフト界の木村大作」と西尾をマニアックに罵倒するのがおかしい。木村大作は数多くの作品を手がけてきた日本映画界が誇る名カメラマン。脚本は『孤食ロボット』なども担当する売れっ子、根本ノンジ。
急にコテコテの博多弁になるクールビューティー
水川あさみは秘密を隠していた。熱愛……ではなく、実は博多弁が抜けないというのだ。
「うち、水川あさみとよ。クールビューティーとよ。こぎゃん、ばってん荒川さんのみたいな口調やったらファンが幻滅するやなかろうもん!」
ちなみに水川は大阪生まれの大阪育ち。ここにも嘘がある。
若かった頃の水川は、亡くなる前の「ふじ」のおやじに悩みを打ち明けたことがあるという。そのとき、おやじは水川に自らの体験を語る。もちろん、自分が嘘をついたエピソードだ(戦後、DDTの偽物をつくって売りさばき、警察に捕まったという話)。水川はおやじが語ってくれた話をみんなに教える。
「世の中にはついていい嘘もある。人を傷つけず、何かを守るための嘘は嘘じゃない。
実在の居酒屋が舞台だが、撮影をしているのは実在の店を模した虚構のセット。その中で役者たちが自分の名前で嘘を演じつつ、嘘を肯定している。彼らは嘘が商売なのだ。真実を追う週刊誌の記者とは対立するのが当たり前である。
水川の話を聞いて勇気を出した西尾が、嘘を演じて記者を追い払う。最後は人がいなくなった「ふじ」で、大森南朋が店に貼られたサインを一枚ずつ剥がして何かを探している……。そういえば第1話に出てきた篠原涼子も何かを探していた。最終回までこの謎は引っ張りそうだ。
今夜放送の第4話は、西尾が三億円事件ならぬ「三万円事件」に巻き込まれる! AmazonPrimeでも配信中。
(大山くまお)