突然ですが、2002年に放送されたフジテレビの『女子アナ。』という連続ドラマをご存知でしょうか?
この作品、一言でいえば、『ナースのお仕事』の女子アナ版。
水野美紀扮するドジで一生懸命な新米アナウンサー・大月真琴が、さまざまな経験を通して成長していく物語となっています。

その中で、真琴がニュース速報を読み上げる際、「生体肝移植」を「性感帯移植」と言い間違えてしまい、上司から大目玉をくらうシーンがありました。ドラマにおいては、真琴のおっちょこちょいぶりを示すために必要な挿話なのですが、これと似たようなことがテレビの現場でもリアルに起こっています。

実際にあった女子アナの恥ずかしい言い間違え


「旧中山道」⇒「いちににじゅうやまみち」by 有賀さつきアナ(元フジ)
「枝垂れ桜」⇒「えだだれざくら」by 長峰由紀アナ(TBS)
「ホワイトソックス」⇒「ホワイトセッ○ス」by 久保純子アナ(元NHK)

「言葉のプロ」を名乗る彼女たちも、私たちと同じ人間。いくら鍛錬を積み重ねても上記のようなミスを犯すこともあるのでしょう。

しかしながら近年は、クイズ番組で一般常識も答えられないような、"おバカ女子アナ"も増えているといいます。
そういった背景を踏まえると、読み間違いが少ない「ばーちゃる女子アナ」は、なかなか画期的な試みでした。

個性豊かな3人の「ばーちゃる女子アナ」


日本テレビからばーちゃる女子アナの開発が発表されたのは、2000年1月19日のこと。リアルタイムで動き、臨機応変な掛け合いやリアクション対応も可能なため、当時、大いに話題を呼んだものです。

新設部署「西館8階! 日テレばーちゃる女子アナ部」へ「入社」した女子アナは計3人。
1人目は長崎出身のおっとりキャラ「南雲ひろみ」。「東京は怖いところですね」が口癖です。2人目は横浜出身でネコのかぶりものをした「剣崎涼子」。事あるごとに「突撃します!」と口にします。
3人目は「新時代を作るわ!オーッホホ!」と笑う、社長令嬢の真行寺麗子。

この3名は、ユースケ・サンタマリアがMCを務めた『とりあえずイイ感じ。』や『TVおじゃマンボウ』をはじめ、さまざまな番組に起用されていました。

ばーちゃる女子アナはコスト削減目的だった?


ちなみに、日テレがCG女子アナ制作に着手した裏には、コスト削減の意図もあったようです。
現在、在京キー局における女子アナの年収は、推定平均1000万円程度。もちろん、基本給以外にも、福利厚生や保険・年金・退職金など、さまざまな人件費がかかるため、テレビ局の負担は相当なものになります。

それに比べて、CG女子アナは格段に低予算で済みます。さらに、コンピューターでしっかりと制御されているので、原稿の読み間違えも最小限に抑えることが可能です。そのため、大いに活躍が期待されたのですが、わずか1~2年テレビ出演した後、パッタリと姿を消してしまいました。
やはり、どんなに下手であっても、CGよりも人間から伝えられるニュースを視聴者は望んでいるのでしょうか。

しかし、いまだにCG女子アナは進化を続けているようです。
2012年10月には、フジテレビで漫画家・江川達也がデザインしたCG女子アナ「杏梨ルネ」が登場(その後、2013年6月に退社)。
今年3月末には、静岡放送テレビでバーチャル女子アナ「沢村碧」が登場し、実際にニュースを読み上げました。

言うまでもなく、この10数年間でクオリティーは格段に上がっています。このままいけば、いつの日か、CG女子アナが人間の女子アナにとって代わる時代がやってくるかもしれません。
(こじへい)
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