シンデレラ城前に寝そべる人々

とくに物議を醸しているのが、シンデレラ城の前での“寝そべり自撮り”です。シンデレラ城前は昔から人気のフォトスポットですが、上手く城全体を写そうと試行錯誤する中で生まれた方法がこれということでしょうか。地面に寝そべり、見上げるような形で自分たちと城を撮影するのが現在流行しています。
そのため、ときにはシンデレラ城前の広場に何人もの若者が寝そべるという異様な光景が広がることに……。「景観を壊す」という批判の他にも、寝そべっていては、どうしても後ろに注意が払えないため、盗撮被害を心配する声もあります。
他にも段差になっているような少々危険なところ、もともと撮影スポットとして想定されていないであろう場所での撮影が、インスタグラム上で流行してしまう問題もあります。たとえばトゥーンタウンの一角に設置されている木箱。こちらの木箱に上って写真撮影をするのが流行したのですが、本来こちらの木箱は開くと音が出る仕掛けを楽しむもの。木箱に上って撮影する人々で混雑するせいで、もともとの仕掛けが楽しめなくなるという事態が起きました。
またTDR公式サイトで使用禁止がはっきり明記されているにも関わらず、自撮り棒を使った撮影を行う人々もいます。近年、TDR来場者のマナー悪化が叫ばれており、その一因として、インスタ映えを狙った写真撮影が関わっているのではないかという指摘もあります。
SNSで問題が目につきやすくなっただけ?
本当にTDR来場者のマナーは悪化しているのでしょうか? そして、インスタグラムがマナー悪化の原因に関わっているのでしょうか……? 周囲のTDR好きにアンケートを募ってみたところ、意外にも「世間で言われるほどの問題は現地で感じない」という回答が集まりました。
「パーク好きの間だけで共有されていたマナーの問題が、SNSの普及によって目につきやすくなっただけかと思います」
確かにSNSでの炎上によって、現実よりも問題行為が多く感じることはあるかもしれません。ただ、「“ネットにウケる写真”を撮ろうとする人々が増えたことは感じる」という意見はありました。
問題行為を推奨する記事も……
ところで、「ディズニー インスタ映え」でネット検索をかけると、オススメの撮影スポットを紹介するページがいくつもヒットするのですが、その中には上記に挙げられたような、TDR好きの間で問題となっている撮影方法や撮影スポットを取り上げているものも少なくありません。
もちろんTDR公式サイトで紹介されているわけではないのですが、そういった記事を読んだ人々は、まさか紹介されている撮影方法が批判されている行為だとは思わないでしょう。ネットで紹介されていた通りの方法で撮影した写真をSNSに投稿しただけなのに、TDR好きからバッシングされたとなると、「あの記事に書いてあったのに!?」と混乱してしまいそうです。
たまにTDRに行く程度の人々にとっては、TDR好きによる「この行為は避けよう」という注意喚起よりも、「TDRで素敵な写真を撮りたいならココだよ!」という情報の方が目につきやすいということが問題の根底にあるかもしれません。そのため相手のマナー違反を指摘するときも、いきなり厳しい口調だと、「そんなの聞いていないよ!」と余計反発されてしまいそう。
非日常の中でも“非常識”はNG
TDR好きたちのアンケート回答には、「最低限常識の範囲で」という言葉が使われていました。皆もやっている、ネットでまとめられていたではなく、今一度「これって冷静に考えてどうだろう?」と考えてみるのが大切ということでしょうか。最後に「TDRを楽しむ上で気を付けてほしいこと」という項目に寄せられた回答を紹介します。
「非日常を楽しむ空間であっても、非常識になってはいないか。ところどころ自分の行動を振り返ってみてほしいです」
(HEW)