20万人利用「ラブホ女子会」なぜ始まった?元祖のバリアンに聞いた誕生秘話
ラブホ女子会のイメージ

「ラブホ女子会って知ってる?」と得意げに聞いてくる奴は、もはや古いのだ。女子会プランを用意しているラブホテルはすっかり珍しくなくなり、ラブホ女子会の専門予約サイトなんてものまで存在している。
周囲に気兼ねすることなく、ゆったりガールズトークに花を咲かせられるのが人気の秘密らしいが……。そもそもなぜラブホテルが女子会プランを始めることになったのだろう?

“お泊まり女子会の元祖” ホテルバリアンリゾートを運営する株式会社サンザの担当者、ラブホ女子会の発案者でもある本多さんにラブホ女子会の誕生秘話を聞いた。

「どうせ誰も来店しない」と期待されていなかった


20万人利用「ラブホ女子会」なぜ始まった?元祖のバリアンに聞いた誕生秘話
ホテルバリアンリゾート客室

バリアンは、2009年というラブホテル業界でもいち早い時期に女子会プランを打ち出した。本多さんいわく、女子会ブームの中で、「『他の席など周りを気にせず、自分たちだけの空間で話したい』というニーズがあるのではないか」「豪華なお部屋で仲の良いお友達と、すっぴんにパジャマ姿で過ごせるホテルステイは、飲食店やカラオケにはない開放感があって喜ばれるのではないか」とひらめいたらしい。しかし、ラブホテルが女子会プランを始めるとは、前代未聞の試みだ。社内で反対の声は、なかったのだろうか?

「反対はありませんでしたが、『どうせ誰も来店しないだろう』と、とくに期待もされていませんでした。でも、もともとバリアンはカップルのお客さま、とくに女性の方からの支持が非常に高いホテルでしたので、自分の中である程度の勝算はありました」

本多さんの狙いは見事に当たり、女子会プランは開始から累計20万人以上に利用される大ヒットを飛ばした。しかし、2014年頃は女子会プランの需要の高まりにオペレーションが追いつかない部分もあった。たとえば、ある年のクリスマス・イブ、新宿本店のロビーに女子会プランの利用客だけで100人以上の待ちが出てしまい、カップルからクレームが入ったこともあったそうだ。

「今はお店や予約時刻を分散するなどの対策をとっており、オペレーションも洗練されて、現場が混乱することやクレームをいただくことは、ほぼありません。むしろカップルの方からも『女子会で有名なホテルだから、明るい雰囲気で入りやすい』と言われます」


今後はオタク女子を狙い撃ち!?


女子会プランの利用者からは、「ご飯だけだと2~3時間しかいられなくて、深い話ができないんですけど、バリアンで泊まりなら、いろんな話ができる」といった喜びの声が寄せられているらしい。また、コンタクトの保存液などアメニティが充実しているので、「今から行こうか」と着の身着のまま利用できるのもポイント。さらにプレゼントの事前セッティングなどサプライズにも協力してくれるほか、フラワーバスやバルーン、タペストリーが用意されているためSNS映えを狙った写真を撮影できるところも人気のヒミツだ。


本多さんによると、利用者は「20~22歳の学生の方、20代前半の社会人2~3年目の方が中心ですが、20代後半~30代の方も増えています」とのこと。誕生日のお祝いや、小旅行気分を味わいたい女性たちが利用することが多いそうだが、最近では、意外な層からも話題になっている。それは、アイドルやアニメ、2.5次元などを愛する、いわゆる“オタク女子”たち。彼女たちがDVD鑑賞のために女子会プランを利用する例も増えてきており、そのためオタク女子向けの“推し会”プランも新たに始まった。

「お泊まり女子会から始まって、リムジン女子会、バースデー女子会、ハロウィン女子会、クリスマス女子会、グランピング女子会など、たくさんの企画をしてまいりました。今、アイドル・アニメ・2.5次元ファンの方がDVD鑑賞を楽しむ『推し会』が非常に好評です。今後はこの方たち向けプランをさらに進化させていきます」

なお、推し会プランでは、人数ぶんのペンライトや、押したら「尊い!」と叫んでくれる“尊いボタン”、お絵かきセット、人数ぶんのリモコン(1人1人が好きなタイミングで映像を一時停止・巻き戻すことが可能)などの貸出を実施しており、かゆいところにばっちり手が届く仕様……! 今でさえ驚くほど充実しているプラン内容なのに、本多さんの言う通り、「さらに進化」していったなら、一体どんなことになってしまうのか?

前代未聞の企画を打ち出すことでバズって満足するのではなく、サービスの向上を追求し続ける。発想力よりも、その飽くなき向上心こそが、バリアンのラブホ女子会の真の素晴らしさなのかもしれない。

(原田イチボ@HEW)
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