今も昔もリメイクアニメは鉄板コンテンツ。

今年は『笑ゥせぇるすまん』『魔法陣グルグル』『カードキャプターさくら』などがリメイク放送され、『聖闘士星矢』『封神演義』などもリメイクが決定している。

これらの作品が放送されていた90年代にも数多くのリメイク作品が生まれているが、そのどれもが昭和を彩った「国民的アニメ」だった。

懐かしいあの頃を振り返りたい。

リメイクが続いた赤塚不二夫作品


90年に放送された『平成天才バカボン』。言わずと知れた赤塚不二夫の不朽の名作『バカボン』のアニメ3作目に当たる作品だ。
同じく赤塚作品『おそ松くん』の後番組であり、『元祖天才バカボン』からは13年ぶりのアニメ復活となる。
「キャプテン翼」、「バカボン」……90年代にリメイクされた国民的アニメを振り返る【前編】
『平成天才バカボン』

80年代末、テレビ東京で再放送した『元祖天才バカボン』が高視聴率を獲得したため、フジテレビがリメイクに乗り出したと言う。
ちなみに、『元祖』は元々日本テレビ系で放送されていたもの。実際、放送開始直後には20%を記録しているんだから、フジテレビは実に抜け目がない。

これを横目で見ていたテレビ朝日が、同じく赤塚作品『もーれつア太郎』をリメイクしたのもこの90年。70年の放送時には最高で25%超え、平均でも18%を獲得していただけに、この流れは必然だろう。

『平成天才バカボン』のオープニング&エンディングを嘉門達夫が歌っていたことをご記憶の方は多いはずだ。では、リメイク版『もーれつア太郎』は誰だっただろうか?
クレジット名は「紳助&バスガス爆発楽団」。そう、あの島田紳助であった。


ムーミンから始まったテレ東伝説!?


同じく90年には、誰もが知る『ムーミン』が『楽しいムーミン一家』として復活。

フジテレビ系「カルピスまんが劇場」で放送されたムーミンシリーズとは別作品であり、今作の放送はテレビ東京系だ。
原作者のトーベ・ヤンソン自身もアニメ制作に参加するなど、当時のテレ東が相当に力を入れていたために、海外共同制作契約分が終了した後もタイトルに「冒険日記」と付け加えて別会社にて製作が続けられている。
「キャプテン翼」、「バカボン」……90年代にリメイクされた国民的アニメを振り返る【前編】
『楽しいムーミン一家』

この作品が何より有名なのは、そのテレ東らしさが全開になったエピソードかも知れない。

湾岸戦争が始まり、他局が緊急報道特番を放送する中、テレ東のみ通常番組として『楽しいムーミン一家』を放送し続けたのだ。
「湾岸戦争に関心が強いビジネスマンたちは、夜7時台には家にいない」と言う読みはズバリ的中。他局が自粛したアニメを独占することになり、結果、関東地区で18.7%という高視聴率を獲得している。
そして、重大事件・事故にも関わらず番組編成を変更しないテレ東の姿勢は、この後ネタ化して行くのであった。

テレ東は92年には同じ枠で『カリメロ』もリメイク。ムーミンほどではないが、安定した人気を集めている。

Jリーグブームに乗れなかったキャプテン翼のリメイク


94年にはサッカー漫画の金字塔『キャプテン翼』もリメイク。『キャプテン翼J』と題し、フジテレビ系で放送されている。
前年にJリーグが発足し、サッカー人気は最高潮に。ジャンプでは続編となる『キャプテン翼ワールドユース編』(記事はこちら)の連載も始まり、リメイクするには絶好のタイミングだった。

「キャプテン翼」、「バカボン」……90年代にリメイクされた国民的アニメを振り返る【前編】
『キャプテン翼J』

80年代中期、テレビ東京系で放送されていた『キャプテン翼』の「小学生編」のリメイクから始まるが、思ったよりも視聴率は振るわず。Jリーグ発足の火付け役となった作品が、そのJリーグブームに乗れないとは何とも皮肉な話である。

「小学生編」終了後、原作ファンの獲得を狙ったのか、いきなり中学卒業後の「ワールドユース編」をスタートさせるが、結局10話程度で打ち切りに。地域によっては「ワールドユース編」は放送されなかったのだから、あまりに切なすぎる。

主人公の翼以外の声優陣が一新されたが、そこまで違和感はなかった印象。ちなみに、翼役の声優の小粥よう子(現・日比野朱里)は原作者・高橋洋一先生の妻である。

ミンキーモモ&鉄人28号は続編を放送


91年には『魔法のプリンセスミンキーモモ』が約10年ぶりに復活しているが、内容は続編的扱い。翌92年、『鉄人28号』も『超電動ロボ鉄人28号FX』として登場したが、これはアニメ創世記の63年に放送された第1作の続編となっている。
(80年に第2作『太陽の使者鉄人28号』が放送されている)
「キャプテン翼」、「バカボン」……90年代にリメイクされた国民的アニメを振り返る【前編】
『魔法のプリンセスミンキーモモ』

同じく92年には、『宇宙の騎士テッカマン』が『宇宙の騎士テッカマンブレード』として放送されたが、まったくの別作品であり、リメイクや続編的位置付けではない。
もしかしたら、「リブートアニメ」の先駆けなのかも知れない。

91年には、『じゃりン子チエ』が『チエちゃん奮戦記じゃりン子チエ』と題して10年ぶりの復活を果たしたが、関西地区(毎日放送)でのオンエアのみだったと言う変わった例も。この時代的には非常に珍しいケースだと思われる。


まだまだ誕生している国民的アニメのリメイク作品たち。90年代後半編に続く……。


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