
依頼人は、徳川家・重要人物の子孫
依頼人は、群馬から出てきた権田辰夫(柄本時生)。寝たきりの祖父がまばたきでモールス信号で「いえはうるな。とくがわのまいぞうきんがある。どぞうのから」と遺言を残したという。赤塚探偵事務所の所長・かほる(山口智子)は、溜まった家賃を一発逆転で払うため、この依頼を受ける事にする。
辰夫の土蔵には、からくり箪笥があり、その中には古い手紙が隠されていた。その手紙により、辰夫が徳川埋蔵金を隠したとされる小栗上野介だということが判明する。これで、五郎(瑛太)たちは埋蔵金があることを確信する。
思い出したかのように謎解き要素
過去9話でほとんど見られなかった謎解き要素が、最終回ではふんだんに盛り込まれていた。モールス信号、からくり箪笥、絵と手紙を使って解く暗号、ひっかけ問題など、謎の連発っぷりは、まるでこのドラマが探偵物だと思い出したかのよう。もう一つ、五郎が実は推理能力が高いということも思い出したかのようだった。
探偵ものだろうが、ホラーの時はホラー、ラブロマンスの時はラブロマンス、この振り切り方の潔さには感動すら覚えてしまう。
すごい通常回っぽい
赤塚探偵事務所解散の危機を乗り越えるという、一応結末っぽいことをしているのだが、なんとも通常回っぽい最終回だ。第5話とかでこの話がきても全然違和感がない。
最終回なのに一話完結
前後編でこれをやればもう少し最終回っぽいのに54分勝負、男らしい。最終回15分拡大とかそういうのもない。序盤にホラーで前後編ものをやったことを考えると、すごい偏った構成だ。
誰かの過去も明らかにならない
メインキャストの過去が明らかにならない。蘭子(深田恭子)が元ホステスでお嬢様ということは序盤にわかったが、五郎をはじめ、グレ(森田剛)もかほるがなぜ探偵をやっているのかはわからない。「過去を巡る旅」みたいなのは原作にもあるのに。
「おぉ勢ぞろい!」がない
前話で節子(蒼井優)が再登場したものの、最終話は出てこなかった。ミナミ(リリー・フランキー)など、インパクトのあるキャラが出てくればオールスター感が出るのにそんなことはしない。
誰かが旅に出ない
グレ当たりが旅とかに出たり、赤塚探偵事務所を辞めたりすれば最終回っぽいのに、そんなことはしない。明日からも通常通り赤塚探偵事務所は運営されていくようだ。当然、10年後・・・みたいなのもやらない。
理由は何だろう?
ラストにRADWIMPSの野田洋次郎が登場して、みんな主題歌を歌って踊るというのは新鮮で最終回っぽかったが、内容では最終回っぽさをそれほど演出しなかった。続編のためにネタを残しておいたという風に見るのが普通かもしれないが、それもちょっと違う気がする。
おそらく全10話、全8エピソードは、赤塚探偵事務所にとって通常営業なのではないだろうか?毎度毎度の風変わりな依頼は、単なる日常だったのだ。制作陣は、ただそれを8回切り取っただけに過ぎない。だから、最終回を最終回らしくする必要がなかった。そう考えるとシックリくる。
何より、いつも自然体の赤塚探偵事務所メンバーは、肩に力の入った“怒涛のラスト”みたいなのは似合わない。
(沢野奈津夫)