
兵庫県の伊丹市に行く用事があり、そこの出身の友人が「千里川の河川敷にぜひ寄ってほしい」という。
話を聞けば、伊丹空港から離発着する飛行機がその河川敷上空を通過するそうで、見上げたときの迫力が満点とのこと。
いつか、海外のビーチで頭上スレスレ(に見える)の低い位置を飛行機が飛ぶ写真を見たことがある。調べてみるとカリブ海にあるシント・マールテン島という場所で見られる光景ということなのだけど、それと同じ類のものがまさか日本に!しかも個人的にも何度も利用したことのあった伊丹空港で見られるときたら…それは驚きだ!という訳で、その真偽を確かめに行ってきました。
のどかな河川敷を歩きつづけると…突然現れる非日常

その河川敷へのアクセスは、車か電車かバス。電車で行く場合は最寄りが阪急電鉄宝塚線の曽根駅。ただ、今回は前の用事で駅から離れた場所にいたので、バスを乗り継いで宮川原橋というバス停から徒歩で向かうことにした。地図アプリでは歩いて18分と出ている。

私の地元は大阪だが、親戚がいる訳でもない兵庫に行くなら三宮が神戸あたりが関の山。つまり繁華街くらいしか知らなかったので、のどかな住宅地は兵庫のまた新たな一面で新鮮だった。

流れる小川もきれいそう。
夏真っ盛りの8月中旬、汗が滴り落ちる中、まだかなーと思っていると…。
ゴオオオと徐々に大きくなる轟音のあと、その光景は突然目の前に現れた。

あっ

あれか…!

というか…低っ!!

小走りで向かうと停められた何台もの車を見て確信、ここだー。

フェンス一枚隔てた向こうには伊丹空港の滑走路があり、間近に飛行機を見ることができる。

陽炎の向こうに見える飛行機は実にクール。
ゴオオオオオオオオ
あ、また来た来た!
確かにスレスレ…!見物客たちの頭上を飛び交う飛行機

おおおおぉぉぉぉ、すごーーい!!

動く飛行機をこんなに間近に見たことが…かつてあっただろうか!
これを真下で見るとどれほどの迫力があるのだろう、そう思ってさらに歩くと…

人!

人ー!!

人ーー!!!

土曜日、しかも快晴ということもあり普段より多いのだろう。報道マンかと言わんばかりの大きな三脚を抱える人や、軽装のカップルや親子など、いろんな人達がこの頭上スレスレの飛行機を見に来ていた。自然がつくり上げた訳ではない、かと言って誰かが意図してつくった訳でもない、実に不思議な観光スポットだ。
南東の空から「ゴー」と遠く聴こえると、せわしなくカメラを構えたり、気づいた子どもが親に声を掛ける。が、それ以外はのんびり雑談したりスマホをいじったり、あるいは水筒からお茶を汲んで飲む光景は、どことなく釣り堀で魚の食いつきを待つ人たちのようにも見える。

遮るものが何もないので、視力の良い人から飛行機の存在に気づく。

来るときはゆっくりだが、通り過ぎるとあっという間に茂みの陰に消えていく。

非日常的すぎて何度見ても合成写真に見える。が、これが現実だからすごい。

このような距離感で飛行機を、しかも裏側を見たことがあるだろうか。

小ぶりの飛行機だと迫力はないが、これもまた趣を感じる。
この光景を見ていると、かつて自分も子どもながらに飛行機型の風船を買い与えてもらい喜んでいた記憶を思い出した。当時、きっとこの場面に遭遇していたら、ちょっとくらいはパイロットになりたいと思っていたかもしれない。それだけのインパクトがこの場所にはあった。
伊丹空港から南東すぐの千里川河川敷。
関西の人は週末にでも出掛けてみるとおもしろいものが見られるかもしれない。
スッカリと観光名所の風景だったが、住宅地も近いので騒がないマナーは大切だ。

都心から近い割に自然が残り、こんな立派なトノサマバッタもおりました。
(ネルソン水嶋)