
そりゃ断れねえよなあ……な雰囲気で彼女の実家へ
主人公はニューヨークに住むフォトグラファーの黒人青年、クリス。付き合って4ヶ月になる恋人のローズは白人だけど相性はよくて、週末には彼女の実家に招待されている。
荷物をまとめ、ローズの実家に向けて車を飛ばす2人。道中で鹿を撥ねるトラブルに見舞われるも、無事に実家にたどり着く。ローズの実家であるアーミテージ家は湖畔に建つ大きな屋敷で、人の良さそうな父ディーンと母ミッシーは2人を大歓迎する。しかし、屋敷にいる2人の使用人は揃って黒人の男女。微妙な違和感を覚えるクリスだったが、先代の世話をさせるために雇った使用人であることを聞いて納得する。
とにかく「付き合って4ヶ月」「初めて恋人の実家に挨拶に行く」というシチュエーション設計の妙味がすごい。付き合って4ヶ月といえばなんせ一番楽しい時期。相手が何をやっても可愛く見え「このまま結婚しちゃうかもしれん」という考えが脳裏をよぎる。そのタイミングで可愛い恋人に「今週末実家に来てくれない?」と言われて無下に断ることができる人間がどれほどいるであろうか。そりゃ着いていっちゃうよなあ、クリス……。
また、実家に行くまでにクリスが自分の人種を気にしていることが描写されるのもうまい。クリスは友達のロッド(空港の警備員。めちゃくちゃいい奴)も含めて今時のニューヨーク住まいの黒人であり、田舎の白人家庭であるローズの実家に行くことを躊躇する。しかし、ここで前述の「付き合って4ヶ月の恋人の頼みを断れるか」という問題が発生する。可愛い彼女に「うちの親なら大丈夫だよ」って言われたら、まあ当たって砕けろ、この子が言うんだから大丈夫大丈夫……ってなっちゃうよなあ……わかるぞクリス……。