今年も残すところあとわずか。最近電車に乗っていると、英単語帳を赤シートで隠しながら懸命にチェックしている予備校生らしき若者を、頻繁に見かけるようになりました。
受験生たちの勉強も、そろそろ佳境に入っている頃なのでしょうか。

受験勉強と言えば、ロンブーの淳が青山学院大学を受験するとして注目されています。賛否両論あるようですが、振り返ってみると、こうしたタレントの大学入試挑戦というのは、いつの時代もそれなりに話題になってきたものです。
明治大学に合格した大仁田厚然り、広末涼子に便乗して早稲田大学に入ろうとした浅草キッド然り、『めちゃイケ』の企画で同じく早稲田を受けたナイナイ岡村然り……。

2000年8月から2001年3月にかけて『進ぬ!電波少年』(日本テレビ系)で放送されていた『電波少年的東大一直線』も、メディアで取り上げられた芸能人の大学入試の一つ。
挑戦したのはお笑いコンビ「アルカリ三世」の坂本ちゃん。
東大合格に燃える彼と、その学習をサポートした美人家庭教師・ケイコ先生のドキュメンタリーは当時、大きな反響を呼んだものです。

坂本ちゃんとケイコ先生の凸凹コンビ


2000年8月。「大学生になりたい」と熱望し、企画への参加を決めた坂本ちゃんの学力は、「35-18」という基礎的な引き算さえできない壊滅的有様でした。
それとは対照的にケイコ先生は、都内のお嬢様学校をエスカレーターで進学後、東京大学教育学部に入学&卒業した才色兼備の美女。2人は小さな部屋に監禁状態となり、坂本ちゃんはケイコ先生指導のもと、1日13時間以上の猛勉強を開始したのです。

坂本ちゃんとケイコ先生という凸凹コンビの掛け合いはなんとも絶妙であり、時にぶつかり合い、時に励まし合いながら、二人三脚で学力向上を目指す2人のことを多くの視聴者が好きになりました。

東大は断念……しかし日大には合格


勉学に励むこと半年間。坂本ちゃんは満を持してセンター試験に挑みます。
が、東大の一次通過ラインには届きませんでした。「ごめんね、一生懸命教えてくれたのに…」と言って、ケイコ先生と共にさめざめと泣くシーンは、お茶の間の涙を誘ったものです。

しかし、「せっかくここまで勉強したのだから」というTプロデューサーのはからいにより、『電波少年的東大一直線』は『電波少年的どこでもいいから一直線』に変更。東大のすべり止め的にどこでもいいから大学に合格させようという、実に電波少年らしい切り替えが行われたのでした。

結果、坂本ちゃんは15の大学を受験し、明治大学二部政治経済学部、駒沢大学仏教学部などを含む計8校に合格。その中の一校「日本大学文理学部」への進学を決め、晴れて大学生となったことを、ケイコ先生と共に今度は歓喜の涙を流しながら喜び合ったのでした。


『ウリナリ!!』のレギュラーにもなった坂本ちゃん


こうした電波少年での活躍によって、一躍スターとなった2人。

坂本ちゃんは『ウリナリ!!』(日本テレビ系)の新レギュラーに抜擢されるなど、バラエティ番組へ引っ張りだこに。そしてケイコ先生はもともと役者志望だったこともあり、『救命病棟24時』『スタアの恋』(両方フジテレビ系)といったドラマからお呼びがかかるなど、女優として一定の成功を収めました。

明暗分かれた2人の今


そして2017年現在。2人はどうなっているのかというと、ケイコ先生は『電波少年』のイメージから、どうしても“東大卒タレント”としてのオファーばかりだったことに悩んだ末、2003年に浪曲師への転身を決断。
今では年間200ステージをこなしつつ、同時に演劇舞台やローカル番組のレギュラー、ラジオパーソナリティーを務めるなど、多方面にわたって活躍を続けています。

一方の坂本ちゃんは、多忙さゆえに留年を繰り返し、都合7年間日大に籍を置いたものの、結局卒業出来ず仕舞い。

2015年には、金銭トラブルで家族とは絶縁状態なうえ、極貧生活のためアルバイトで細々と食いつないでいるという悲惨な現状を告白しています。

『電波少年』の企画後は、2人そろって売れっ子になったものの、10数年の時を隔てて、明暗がくっきりと分かれた格好になってしまいました。
(こじへい)



※文中の画像はamazonよりWIN(カラオケ)