フジテレビ系ドラマ「刑事ゆがみ」第4話。神木隆之介演じる羽生虎夫(はにゅうとらお)という名前は、ハニートラップからきているとこの回でようやく気付けた。


テキトーで歪んでいる弓神適当(ゆがみゆきまさ・浅野忠信)、ちょっと官能的な管能理香(かんのりか・稲森いずみ)、町を守る町尾守(まちおまもる・橋本淳)、叩き上げの多々木挙男(たたきあげお・仁科貴)に比べて絶対難しい。
「刑事ゆがみ」4話。飯豊まりえの無駄遣い感がすごい
イラスト/Morimori no moRi

事件の内容


転落死したのは、社長令嬢の高遠玲奈(池端レイナ)の婚約者・大山昇(姜暢雄)。現場に居合わせた警備員(前野朋哉)いわく、外階段から争う声が聞こえたので駆けつけたら、その場には高遠玲奈とその同期の堤祥子(高梨臨)、そして階段の下には大山が倒れていたらしい。

堤は、半年前に一度関係を持った大山のストーカー行為に悩んでいた。そのストーカー行為をやめさせるため、大山とのベッド写真を高遠に見せようとするが、そのことがきっかけで大山ともみ合いになり、振り払ったはずみで落下させてしまったという。

弓神と羽生は、ストーカー行為の有無を調べるが、大山が堤をストーカーしているという噂は、社員の間でも有名な話のようだった。

弓神の謎の解き方


弓神は、トリックや凶器などを暴くというよりも、隠れた人間関係、隠し通したい心理を見破り事件を解決するタイプの刑事だ。膨大な知識を披露するでも、科学的に裏付けされた合理的な捜査をするわけでもない。
頭が良いのは確かだが、ただとんでもなく“空気が読める”だけだと思う。意外となぞなぞとか頭の体操的なクイズは弱いんじゃないかとも思う。

犯人の焦りや緊張を見抜くのはもちろんだが、弓神は、事件に関わる他の人間の心理も読み取り、それを捜査に活かす。3話で言うと、言動だけで堀田(柳俊太郎)が真下(寺脇康文)を襲ったわけではないと見抜いていたようにだ。

今話何度も見せた管能(稲森いずみ)へのセクハラ川柳が、ケリを入れたいほどムカツいても、不快というラインを越えていないのは、空気が読めるから出来ることだ。

そんなめちゃめちゃ空気の読める弓神は、今回も、堤が大事そうに指輪をしていたことや、軽薄なOL(飯豊まりえ)が軽口噂拡声女であることを一瞬で見抜き、おだてて情報を聞き出したことが、事件解決の大きなキッカケにしている。


「探偵がいるから事件が起きる」という逆説になってしまうが、そんな弓神が取り扱う事件、もしくは犯人は、一癖も二癖もある何かを抱えている人間ばかりだ。おそらく今後もそうだろう。

今回の堤も大きな隠し事をしていた。それがまた簡単に割り切れるようなことでもなかった。観てない人は観て欲しいのでここでは書かないが、美しいような、切ないような、複雑な感情が絡み合って起きてしまった事件だった。

2回目観る人は、飯豊まりえに注目!


2話で斎藤工の無駄遣いが話題になっていたが、今回も飯豊まりえの無駄遣い感がすごい。注目の若手女優なのに、口が軽いだけの2回しか出番のないOL役なのだ。


だが、もう1度見返してみるとこの飯豊まりえが面白い。飯豊まりえは、堤に噂を拡張する女として利用されていた。それを踏まえて見ると、飯豊まりえはメチャメチャ仕事をしていることがわかる。

「これヤバクないですか?」「ここだけの話ですよ?」こんなベタなワードを使い、嬉しそうに秘密のはずの話を話しまくる。大山がストーカーという噂も、同じようにして広めたのをハッキリと想像させてくれるのだ。つまり、ハッキリと「この女アホだな~」と思わせてくれるのだ。
これは味わい深い。2度見て楽しいキャラクターだ。ちなみに、作中では出てこなかったが、飯豊まりえの役名は飯杉真澄(いいすぎますみ)だそう。

今夜放送の第5話は、弓神の過去が垣間見えそう。完全1話完結でやってきた「刑事ゆがみ」だが、もしかしたら少し伏線を残す回になるかもしれない。視聴率はじわじわ回復しているものの6.3%と低い。
まだ観てない人は、そろそろ観といた方がいいと思う。
(沢野奈津夫)

『刑事ゆがみ』キャスト、スタッフ、主題歌


【キャスト】
浅野忠信 神木隆之介 山本美月
仁科貴 橋本淳 稲森いずみ
【スタッフ】
原作:井浦 秀夫『刑事ゆがみ』(小学館『ビッグコミックオリジナル』)
脚本:倉光泰子 大北はるか 藤井清美 池上純哉 徳永友一
音楽:菅野祐悟
主題歌:WANIMA『ヒューマン』(unBORDE/Warner Music Japan)
プロデュース:藤野良太 高田雄貴
演出:西谷弘 加藤裕将 宮木正悟
制作:フジテレビ

『刑事ゆがみ』動画は下記サイトで配信中


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