
国土交通省は11月21日、2015年に実施した「全国都市交通特性調査」の集計結果の詳細なレポートを公表した。「全国都市交通特性調査」とは、全国70都市において、人々がどのような目的で移動しているか、どのような交通手段を利用しているかなど、人の動きからみた”交通実態”を調査するもの。
その結果、20代男性の休日の外出が30年間で半減していることが明らかとなったのだ。
原因は「インターネット・スマートフォンの普及」「宅配便の増加」

調査日に一度でも外出した人の割合を示す「外出率」によると、全体の平均が平日80.9%、休日59.9%だったのに対し、20代男性は平日81.2%、休日51.1%と、全年齢と比較しても外出率が低くなっている。外出傾向があまり変わらない65歳~75歳と比べても、20代男性は2人に1人が休日に外出をしていないことになるのだ。

続いて、1日に移動する平均回数を表した「移動回数」を見てみると、20代男女ともに平日の「業務目的」の移動が1987年に比べ74%も減少しており、休日の「買物以外の私用(食事、観光、送迎、その他私用)」での移動も大きく減少している。これらの背景にはインターネットやスマートフォンの普及、宅配便の取扱数の増加などが関係しているとみられている。なお、インターネットの人口普及率は8割を超えており、スマートフォンの世帯保有率は近年急速に伸びている状況にある。
非正規は「非就業」並みに外出が減っている

就業形態によって、「正規」「非正規」「非就業」に区分して比較すると、平日休日ともに非就業者の1日あたり移動回数が少ないことも明らかとなっている。年齢階層で区分して比較すると、特に20代は「非正規」の1日あたり移動回数が「非就業」並に少なくなっている。
外出しないのではなく、収入に余裕がないため"外出できない"という理由も深く関わっているのかもしれない。ネット上でも「外出する金がない」「外出しても今の日本じゃ金がなきゃ何にも出来ないしな」と金銭面の不満が挙げられている。一方で、「どんなに人件費削られようが、インターネットという受け皿のおかげで十分な充足感が得られる」「金を稼ぐ意味合いが、保険的要素しかなくなってるのかも」とネットなどの普及により自然と外出が減ったとする意見も多く見られた。