11月16日、第68回NHK紅白歌合戦の出場歌手が発表されました。

芸能界引退を表明している安室奈美恵の名前はなかったものの、デビュー10周年のHey! Say! JUMP、20周年の三浦大知、30年目のエレファントカシマシらが初出場アーティストとして名を連ねました。
総合司会に内村光良(ウッチャンナンチャン)が抜擢されたことも含め、見どころの多い紅白となりそうです。

この初出場歌手の中に、一人異彩を放つアーティストがいます。竹原ピストル。彼のことを知っている人ならNHKにしてはかなり攻めてる人選だなと思ったはずです。

紅白初出場が決まった竹原ピストルとは?


竹原ピストルは、もともとは『野狐禅(やこぜん)』というバンドで活動していたミュージシャン。
本人の野武士のような荒々しい外見にふさわしく、手掛ける楽曲は泥臭い系のフォークロック。バンドとしての方向性のようなものは、デビューシングルのタイトルが『自殺志願者が線路に飛び込むスピード』(竹原の作詞・作曲)だった時点で、既に強烈に決まっていたのでしょう。

自殺志願者が線路に飛び込むスピードで
僕は自転車こいで濱埜の家に行きました
「このまま終わってたまるか」なんて言いながら

こんな歌詞の曲を、野太いかすれ声を振り絞り、まくしたてるようにギターをかき鳴らしながら全力で歌うのです。そんな彼はどこか求道者っぽくもあり、そこにシンパシーを覚えたためか、スガシカオや笑福亭鶴瓶など、同じような我が道を行く系のタレントからよく好かれていました。

竹原ファンを公言していた松本人志


松本人志も、野狐禅及び竹原のファンを公言していたタレントの一人。松本は今回の竹原の紅白出場決定に際して、11月19日放送の『ワイドナショー』で以下のようなコメントを寄せています。

「彼の実力と努力を知っているので、本当によかった。それだけはうれしい」
「彼の生歌にNHKホールの人たちはびっくりすると思いますよ」


まるで自分事のような喜びようです。それもそのはずで、松本は10数年前からの古参ファン。
2003年ごろ、野狐禅がデビュー曲『自殺志願者~』をひっさげて『HEY×3』に出演した際、松本は「僕ねぇ、ちょっと彼らの曲、聴いてるんですよ」と言っていました。この時から既に、野狐禅を愛聴していたようなのです。

「才能がある人が認められていないと…」松本が語った思い


これ以降も、松本はことあるごとに『HEY×3』のプロデューサーから「野狐禅どうなってんねん」と近況を聞いたりしていたそうです。

2007年ごろ、彼らが事務所を退所して不遇な状況にあることを知った際には、自身のラジオで「良いもんはちゃんとスポットあてなアカンなと思うんですよね」と発言。
その言葉通り、2010年放送の『松本人志のコントMHK』(NHK)では竹原の楽曲をエンディング曲に指定し、2011年の自作映画『さや侍』では、重要な役どころで彼を俳優として起用していました。『さや侍』の舞台挨拶では、竹原について「才能がある人が認められていないと…」と言い、涙ぐむ場面も。

さらに、同じ舞台挨拶で松本は「僕が何もしなくても彼は日の目を見ると思いますけど…」とも語っていました。
それから6年の月日を経て、ようやく日の目を浴びた竹原。今年の12月31日。『笑ってはいけない』の真裏ですが、きっと松本は、竹原出演時の紅白のほうを感慨深げに見るのでしょう。
(こじへい)

※文中の画像はamazonよりよー、そこの若いの ep
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