マレーシアのマクドナルドは「おかゆ」がメニューにある
マレーシア・マクドナルドのおかゆ「ブブ・アヤム・マックディー」

世界最大の外食チェーンのマクドナルドは、マレーシアでは「マックディー(McD)」、ケンタッキーフライドチキンは「ケーエフシー(KFC)」と呼ばれている。こうしたファストフード店は、日本と同じくショッピングモールには必ず1店舗以上は入り、高速道路沿いや街中にもあって、気軽に立ち寄るお店として浸透している。
同じファストフード・チェンでも、日本とマレーシアでは異なる点はいくつかある。

日本と比べて商品の値段は?


まずマクドナルドを例に、日本とマレーシアで値段を比べてみよう。日本のダブルチーズバーガーセットが640円に対し、マレーシアの同商品は14.70リンギット(約400円)だ。屋台での食事なら8リンギット(約220円)も出せばおなかいっぱいになることを考えると、マレーシアにおいてマクドナルドは少し高めの設定だ。

クアラルンプールのショッピングモール内にあるマクドナルドにおける社員の月給は、フルタイムで1240リンギット(約3万3900円)ほど。この数字を見ても分かるが、すべての国民にとってマクドナルドが手ごろな値段というわけではない。しかし、経済成長率や消費者物価の上昇が凄まじいマレーシア(日本貿易振興会ジェトロによれば、実質国民総生産GDP成長率が1%の日本に対しマレーシアは4.2%)は中流階級層が急激に増えおり、この値段設定でも大いににぎわっている。

マレーシアのマクドナルドは「おかゆ」がメニューにある


マレーシアならではのご当地メニュー


マレーシアのマクドナルドには、ブブ・アヤム・マックディー(Burbur Ayam McD)という鶏肉のおかゆがある。マレー語でブブ(Bubur)はおかゆ、アヤム(Ayam)は鶏肉という意味だ。味はショウガがほどよく効いていて、味付けはしっかりとされているが、食べてみるとあっさりしていて胃に優しい。

このおかゆは、常時メニューにあり、S・M・Lの3種類からサイズを選べる。子ども用のハッピーミールにもこのおかゆはあるため、小さな子どもでも注文しやすい。マレーシアでは揚げパンをおかゆにつけて食べる習慣があるが、この揚げパンも必要であれば注文できる。広東語が現地華僑の共通語になっているマレーシアでは、揚げパンは広東語のチャコイ(Cakoi)という名前でマクドナルドのメニューに載る。


その他にサイドメニューには、ココナッツミルクから作られるマレーシアの名物ジャム、カヤ(Kaya)ジャムや、ドリンクメニューに豆乳があることも、マレーシアの食文化を反映したユニークな点だ。甘いものが好きなマレーシア人は、ソフトクリームだけを購入することも多い。混雑を避けるため、デザート売り場だけが入口近くに別途独立していることもある。
マレーシアのマクドナルドは「おかゆ」がメニューにある
メニューに掲げられたショーユケン・ライスボウル

一方でケンタッキーフライドチキンには、ショーユケン・ライスボウル(Shoyuken Rice Bowl)という、マレーシア独自の商品が存在する。ごはんの上にフライドチキン、サイコロ状のきゅうり、トマトが乗っていてしょう油味のソースがかけられた、どんぶりのようなものだ。ごはんではなく、マッシュルームスープとマッシュポテトの上にフライドチキンを乗せたものもある。



何事ものんびりなファストフード店内


日本では店員のきびきびとした動き、はきはきとした物言いがファストフード店ではおなじみだが、マレーシアでは、店が混んでいようが店員はお構いなし。のんびりとして急ぐことが全くない。営業時間になっても準備ができていないこともよくある。客もそれに対して怒らない。

また辛い物が大好きなマレーシア人は、ポテトに必ずといっていいいほどチリソースをつけて食べる。チリソースとケチャップの専用ディスペンサーがあり、小さなプラスチックの容器にディスペンサーからチリソースを小分けして持っていくシステムになっている。山盛りにチリソースを入れたお皿を2つも3つも持って席に着く人は多い。
テイクアウトの場合は、小分けの袋に入ったチリソースがもらえる。
マレーシアのマクドナルドは「おかゆ」がメニューにある
左からタイチリソース、トマトケチャップ、マレーシアチリソースと並ぶディスペンサー

日本では、食べた後のゴミは分別して捨て、トレーは返却場所に戻すが、マレーシアでは、食べ終わったトレーもゴミもそのまま放置して良い。店員が片付けるのが一般的だ。店内はクーラーが映画館同様にガンガンに効いている。路面店のマクドナルドは24時間営業がほとんどで、無料Wi-Fiも完備しているため、パソコンを持ち込んで長居する人は多い。

イスラム教国だけにきっちりハラル対応


ハラルフードとは、イスラム教徒の人が食べられる食事だ。
具体的には「豚肉、豚肉エキスなどが入っていない」「豚肉と調理器具を分けている」「イスラムの儀式に基づいて食肉処理した肉を使用している」ことが求められる。

マレーシアはイスラム教を国教としているため、マクドナルドもケンタッキーフライドチキンもイスラム教徒のための「ハラル」というルールにのっとっている。女性スタッフはスカーフを頭に巻いている。これはイスラム教の教えで、女性は髪の毛を家族以外の男性に見せてはいけないからだ。頭に巻くためのスカーフは、マクドナルドの制服として店から支給されている。といっても、後は豚肉を使ったメニューが無いぐらいで、それ以外は他国にあるファストフードの店舗と仕組みは同じだ。


世界展開するファストフードであっても国により所々に違いがある。それを感じられるのが、なじみのファストフード店に海外で入ってみる面白さだろう。
(さっきー)